日本大百科全書(ニッポニカ) 「キルティング」の意味・わかりやすい解説 キルティングきるてぃんぐquilting 表布と裏布の間に、綿または柔らかい羽毛や毛糸などを入れて縫い、模様を浮き上がらせたものをいう。キルティングには、おもに全体に模様を浮き上がらせたイングリッシュ・キルティングと、部分的に模様の中だけに毛糸などを通して浮き上がらせたイタリアン・キルティング、アップリケで図案を出し、さらにキルティングした、アメリカン・キルティングがある。[木村鞠子]由来ヨーロッパでは11世紀初期につくられたのが、もっとも古いものといわれている。[木村鞠子]使われるステッチバックステッチ、チェーンステッチ、ミシン縫いなど。[木村鞠子]表布地柔らかく、ある程度伸縮性のあるものが適する。絹クレープ、デシン、ブロケード、タフタ、サテン、絹風の交織地、薄手のウール地、カシミヤ、モスリンなどの無地から柄(がら)ものまで。[木村鞠子]裏布地伸びの少ない布を選ぶ。交織羽二重(はぶたえ)、新モス、薄手木綿地など。[木村鞠子]芯にする詰め物青梅(おうめ)綿、化繊綿、毛糸、柔らかい綿コード(線模様、細いところに使う)など。なお、スポーツウエア、ふとん類には羽毛が使われる。[木村鞠子]用途保温向きのジャケット、スポーツウエア、部屋着、ドレッシーな衣服、子供物など広範囲である。袋物、室内装飾、膝(ひざ)掛け、ふとん類などにも用いる。[木村鞠子] キルティングの技法 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キルティング」の意味・わかりやすい解説 キルティングquilting 日本でいう綿入れ刺し子。2枚の布の間に綿,毛糸屑,ゴムないし化学フォームなどをはさみ,上から細かい手縫い,もしくはミシン縫いで留め合せたもの,およびその技法。縫い目によりレリーフ状の矩形,ダイヤ柄,曲線模様を描くことができ,また保温性も兼ねているため,掛けぶとん,ベッドカバー,衣服などに多く用いられる。この技法は東方に発生し,古代エジプト,ギリシア,ローマ,中国などにもみられる。中世ヨーロッパでは防寒用として,軍服の一部に用いられたが,次第に装飾的要素が強くなり,18~19世紀には男女の上・下衣における重厚な飾りとして流行した。今日では手芸的なものは減少し,機械生産のものが多く,主として冬のホームウエア,防寒用外衣に利用される。技法は,全体に綿を入れて模様全体を浮き出させるイギリス式と,部分的に綿を入れて模様の輪郭線のみを浮き出させるイタリア式とに大別される。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報