ハイランド(英語表記)Highland

翻訳|Highland

デジタル大辞泉 「ハイランド」の意味・読み・例文・類語

ハイランド(highland)

高地。高原。山岳地方。
(Highlands)英国スコットランド北部の、グランピアン山脈より北方の地域。スコッチウイスキーの産地で、中心都市はインバネススコットランド高地

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精選版 日本国語大辞典 「ハイランド」の意味・読み・例文・類語

ハイ‐ランド

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( [英語] highland ) 高原。高地。高原にある別荘用分譲地・遊園地・ホテル・スキー場などの施設名の一部として用いることが多い。〔外来語辞典(1914)〕
  2. [ 2 ] ( Highlands ) イギリス、スコットランド北部のグランピアン山脈から北方の地方。スコッチウイスキーの産地。中心都市インバネス。スコットランド高地とも。
    1. [初出の実例]「蘇部高地(ハイランド)の民は、其俗朴魯にて」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉二)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハイランド」の意味・わかりやすい解説

ハイランド
Highland

イギリススコットランド北部の単一自治体(カウンシルエリア council area)。行政府所在地インバーネス。1975年の自治体再編によりハイランド県として新設され,1996年に単一自治体となった。旧ケースネス県,旧サザーランド県,旧ネアンシャー県の全域,旧インバーネスシャー県,旧ロス・クロマーティ県の大部分,旧アーガイルシャー県,旧マリー県の一部をもって構成。グレートブリテン島北端部に位置し,西と北は大西洋,東は北海に面する。地形的にはノースウェスト高地,およびグランピアン山脈北部を含み,大部分が深く開析された高原地帯からなる。南部にイギリスの最高峰ベンネビス山(1343m)がある。全体に氷河作用の影響を強く受けており,高地には氷食によって形成された深い谷や細長い湖が多数ある。ほぼ中央を北東―南西方向に横切るグレンモアと呼ばれる断層谷には,ネス湖などの氷食湖が連なる。イギリスの自治体で最も人口密度が低く,主産業は農業。氷河作用により土壌が運び去られてしまった高地ではわずかにヒツジ放牧が行なわれるにすぎないが,谷底や海岸の肥沃低地ではオオムギカラスムギ,ジャガイモ,飼料作物などの栽培や,肉牛の飼育が行なわれる。工業ではウイスキーの製造や食品加工などが行なわれるほか,北海油田の関連産業も立地する。その他漁業,観光業も重要。面積 2万5304km2。人口 21万5310(2006推計)。

ハイランド
Highlands

パプアニューギニア,ニューギニア島の高地地方をさす。東ハイランド,チンブー,西ハイランド,南ハイランド,エンガの5県にまたがる。人種的,文化的に海岸部との相違がみられ,さらに海岸部の住民が早くからヨーロッパ人など外部との接触をもっていたのに対し,1930年代までこの地方の存在は外部に知られていなかった。現在はラエを起点とするハイランド国道が縦貫,航空路と合せて経済的社会的変容を急速にもたらしている。国内では人口稠密地域で,自給作物のほかコーヒー,茶を輸出する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイランド」の意味・わかりやすい解説

ハイランド
はいらんど
Highlands

イギリス、スコットランド北部の高地。スコットランド高地ともいう。東側のフォース湾と西側のクライド湾との間の地峡より北方全体の高地をさす。最高峰ベン・ネビス山(1343メートル)はイギリス諸島の最高峰でもある。ハイランドはカレドニア地峡により二分され、北西部は北西ハイランドとよばれ、南東部はグランピアン山脈が広い面積を占めている。ハイランドは、スカンジナビア半島からアイルランド北部へ延びる先カンブリア~カンブリア紀変成岩、花崗(かこう)岩を主とする岩石のつくる山地で、古生代のカレドニア造山帯の一部となっている。氷河時代には厚いスコットランド氷床下にあり、山や谷は氷河の侵食作用を受け、谷にはU字谷が、また岩峰を取り巻くように圏谷(カール)群が形成され、岩峰と森と湖の織り成す風光明媚(めいび)な風景がつくられた。グレート・ブリテン島北端に位置し、湿潤冷涼なためヒースの茂る湿地が高地や低地に広がり、森林は谷の斜面に限られる。湿地より切り出される泥炭(ピート)は、スコッチウイスキー製造の燃料として使われ、独特の味と香りを醸し出している。

 人口密度は低く、無人地域が大部分であるが、谷沿いに小村が点在する。高位湿地や氷食を受けた露岩山地が多く、放牧地として利用される土地もわずかである。夏、露岩地帯を除く山腹は、赤紫のヒースの花に覆われる。近年、観光地として脚光を浴び、夏季は観光客でにぎわう。カレドニア地峡の北東端インバネスが観光の中心地で、ハイランドの首都ともよばれる。行政上はハイランド、グランピアン、テイサイドの三カウンティー(県)にまたがる。

[小池一之]

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百科事典マイペディア 「ハイランド」の意味・わかりやすい解説

ハイランド

英国,スコットランド北部の約3/5の面積を占める山地。〈高地地方〉ともいい,1974年の行政区画再編により同名の州が新設された。州都インバネス。結晶片岩類,片麻岩,花コウ岩などからなり,カレドニア造山運動による古い褶曲(しゅうきょく)山地の一部。南方の低地とは中央地溝帯北部の北東〜南西方向の断層線で画される。マリー湾とローン湾を結ぶ構造谷(ネス湖を含む)によって北西ハイランドと南東のグランピア山地に分かれる。南部にグレート・ブリテン島の最高峰ベン・ネビス(1344m)がある。東の北海岸沿いには平地があり雨量が少なく穀物栽培もみられるが,西の大西洋岸は複雑な海岸線を呈し,雨量がきわめて多い。牧羊,ウィスキー製造が行われ,人口は少ない。ケルト文化が残っている地としても知られる。23万2000人(2011)。
→関連項目スコットランド

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改訂新版 世界大百科事典 「ハイランド」の意味・わかりやすい解説

ハイランド
Highlands

イギリス,スコットランド北部の山地地方。スコットランド中部のローランドに対しての呼称で,スコットランド高地Scottish Highlandsともいう。クライド川河口のダンバートンから北海沿岸のストーンヘーブンに至る線より北西側を指すが,オークニー,シェトランド両諸島と本土東岸の平野は除外される。古生代前期のカレドニア山系に属して結晶片岩や花コウ岩から構成され,グレーン・モアの地溝帯によって北西高地とグランピアン山脈に二分される。最高峰はベン・ネビス山(1343m)で,氷食と湿潤気候のため全体に高層湿原や原野が広がり,観光以外では粗放的牧羊やウィスキー醸造が主産業である。ケルト人の古い慣習や言語が残存することでも知られる。1975年この地方の北部にハイランド州が創設された。中心都市は〈ハイランドの首都〉と呼ばれるインバネスである。
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世界大百科事典(旧版)内のハイランドの言及

【イギリス】より


【地誌】
 イギリスは歴史・民族・行政上,イングランド,ウェールズ,スコットランド,北アイルランドの4地方に大別されるが,地誌的には地形や気候,産業,文化などの観点を加えて,次の各地域に区分される。
[スコットランド]
 (1)北部 ハイランドとも呼ばれる地域で,氷食を受けた高地が卓越するが,東部には低地もある。気候は東西で対照をなし,西海岸の年降水量は1250mm以上で東部の2倍以上に達する。…

【スコットランド】より


[自然]
 スコットランドの地質は,北西部に一部先カンブリア時代の地層がある以外は古生代の岩石が卓越する。とくに北部にはカンブリア紀の変成岩を中心に,カレドニア造山運動による褶曲の結果生じたスコットランド高地(ハイランド)が横たわる。高地全体は北東~南西走向を有し,グレン・モアの断層線によって北西高地とグランピアン山脈に区分され,後者の西部にはイギリス最高峰のベン・ネビス山(1343m)が位置する。…

※「ハイランド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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