世界最大の毒ヘビとして知られる爬虫綱コブラ科のヘビ。インド,東南アジア,アンダマン諸島,フィリピン,中国中南部,海南島に分布。全長は約4m,体色はオリーブ褐色から光沢ある黒色まで変異があり,幅狭い黄白色の帯模様がある。平地の森林にすみ地上に多いが,ときには樹上や水中にも見られ,2000mの高地にも分布している。興奮すると頸部を広げて立ち上がり,シューツと音を立てて威嚇し,その姿勢のまま前進して攻撃をしかける。脅かされたり追い詰められると攻撃的となり,とくに3~6月ごろの産卵期は危険。大型で,毒性はインドコブラよりやや弱いが毒量が多いため,もっとも危険な毒ヘビとされ,人がかまれれば,血清なしでは15分ほどで死亡するともいわれる。またゾウでさえも,軟らかい個所をかまれれば3~4時間で死に至る。繁殖期には枯葉や枝を集めて巣をつくり,雌が抱卵し雄が巣のそばで守る。餌は他の毒ヘビを含むヘビやトカゲ類。ミャンマー地方では本種を安産の神として祭り,巫女がコブラの前で踊りを行う。
→コブラ[図]
執筆者:松井 孝爾
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爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目コブラ科のヘビ。世界最大の毒ヘビで、きわめて危険な種。インド、フィリピンなどの東南アジア、中国南部に分布し、平地の森林にすむ。全長4メートル、最大記録は5.5メートルに達する。1対の頭頂後板が大きいのが特徴である。
[松井孝爾]
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…神経毒を主成分とする毒性が強く,きわめて危険であり,生息密度も高いため各地で人畜の被害が大きい。熱帯アジアに分布し,最大の毒ヘビとして知られるキングコブラOphiophagus hannah(イラスト),アフリカ産のエジプトコブラN. hajeやケープコブラN.niveaなどはインドコブラ同様の威嚇姿勢をとるが,頸部の幅は狭い。熱帯アフリカ産のクロクビコブラN.nigricollisとリンガルスHemachatus haemachatus(英名ringhals)は,特別な毒牙(どくが)のしくみにより敵の目に的確に毒を吐きかけることができるドクハキコブラ(英名spitting cobra)と呼ばれ,数mの距離を隔てても威力を発揮する。…
※「キングコブラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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