日本大百科全書(ニッポニカ) 「ぎょしゃ座」の意味・わかりやすい解説
ぎょしゃ座
ぎょしゃざ / 馭者座
冬の宵、ほとんど頭上に見える星座。おうし座の角(つの)の先端β(ベータ)星から北へ連なる将棋の駒(こま)のような五角形をした星座で、その一角に黄色みを帯びた1等星カペラが輝いている。プトレマイオスの48星座(トレミー星座)の一つで、古くからこの五角形は山羊(やぎ)または羊を抱く老人の姿とみられていた。ギリシア神話では、足が不自由であったため四輪馬車を発明したアテネ王エリクトニウスの姿とされている。1等星カペラの名の意味は「小さな雌やぎ」で、1等星としてはもっとも北よりにある。このため北海道北端のあたりでは一年中沈まない周極星として見えている。ぎょしゃ座は冬の天の川の流れの中にあるため、散開星団などの興味深い天体が数多く、とくに双眼鏡でも見えるM36、M37、M38の三つの散開星団がすばらしい。
[藤井 旭]
『藤井旭著『冬の星座』(1988・金の星社)』▽『林完次・渡部潤一著『星の地図館――STAR ATLAS21』(1999・小学館)』▽『藤井旭著『全天星座百科』(2001・河出書房新社)』▽『藤井旭著『星座大全――冬の星座』(2003・作品社)』