翻訳|Capella
ぎょしゃ座のα(アルファ)星の固有名。カペラとはラテン語で「雌の子ヤギ」の意で、馭者(ぎょしゃ)エリクトニウス(古代アテネ王)が抱えるヤギにあたる部分にある。幼いゼウスに乳を与えて育てた雌ヤギの名をとってアマルテアともよばれる。「冬の五角形」のうちもっとも明るい星で、冬の夜空に美しく黄色に輝く。全天で6番目に明るい恒星。実視等級は0.08等、色指数(B-V)はプラス0.80等(天体の色を表す指標の一つで、青色B等級から実視V等級を引いたもの)。2000年の天球上の位置は、赤経5時16分41秒、赤緯プラス45度59.9分、毎年12月10日ごろ真夜中に南中する。視差は77.3ミリ秒角で、地球からの距離42.2光年。固有運動は434ミリ秒角/年、位置角170度で南に動いている。視線速度は29.5キロメートル/秒。カペラは、シリウス、ケンタウルス座α星に次いで3番目に明るい分光連星で、周期104.0日。スペクトル型G8Ⅲの主星(カペラAまたはAa)とG1Ⅲの伴星(カペラBまたはAb)の二つの巨星よりなる。明るさはそれぞれV(実視等級)0.71等(変光がある)、0.96等。2星の間隔は角距離0.05647秒(0.73天文単位)と測定された。軌道傾斜角(地球から見た公転軸の傾き)は43度で食現象はおこさない。主星は、質量が太陽の2.7倍、半径が12.2倍、光度が74倍、表面温度が4800K(ケルビン)、伴星は質量が太陽の2.6倍、半径が9.2倍、光度が59倍、表面温度5700K。両方の星からは、強いX線や紫外線が放射されている。主星はりょうけん座RS星型の活動を示しコロナからはX線が出ている。伴星からは、主星より強いX線が観測されることもある。また彩層や遷移層(恒星の外層大気で、彩層とコロナや低温外周大気圏の間の大気)から紫外線が出ている。主星のスペクトルにはリチウムの欠乏がみられ、伴星の160分の1しかない。両巨星から天球上を12分角ほど離れてカペラHおよびカペラLがある。スペクトル型はそれぞれM1とM5、実視等級は10.2等と13.7等で、X線や紫外線が観測されている。これら4星(ADS3841=カペラAa、Ab、H、L)は多重連星系をなしているとされる。
[山崎篤磨]
ぎょしゃ座のα星。ラテン語で雌ヤギの意味。日本名では,この星が昇る方角から,兵庫県や京都府の日本海側地方の〈能登星〉がある。黄色みを帯びており,分光連星である。カペラAとBは0.7天文単位離れて,104.023日で公転している。概略位置は赤経5h17m,赤緯+46°。午後9時の南中は1月下旬。スペクトル型は,カペラAがG5,カペラBがG0。実視等級は0.1等,距離は41光年。
執筆者:山田 陽志郎
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