日本大百科全書(ニッポニカ) 「クサボタン」の意味・わかりやすい解説
クサボタン
くさぼたん / 草牡丹
[学] Clematis stans Sieb. et Zucc.
キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の多年草。つる植物が多いセンニンソウ属の一つであるが、茎は直立し高さ1メートル、下部は木化する。葉は対生し、大形の1回3出複葉、小葉は卵形で厚く粗い鋸歯(きょし)がある。花は淡紫色、長さ約2センチメートル、8~10月、大きな円錐(えんすい)花序に多数が下向きにつき、細い鐘形で、4枚の萼片(がくへん)の先端は反り返る。すべての花に雄しべと雌しべがあるが、機能的に雄花と雌花とに分化している。果実は痩果(そうか)で、羽毛状の長い花柱が残る。林縁や草原に生え、本州に分布する。四国、九州には変種ツクシクサボタンが分布し、石灰岩地に生えることが多い。北陸地方には花が青紫色で幅広い鐘形の別種ホクリククサボタンC. satomiana Kadotaがある。
[門田裕一 2020年3月18日]