クマイチゴ(読み)くまいちご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クマイチゴ」の意味・わかりやすい解説

クマイチゴ
くまいちご / 熊苺
[学] Rubus crataegifolius Bunge

バラ科(APG分類:バラ科)の落葉低木。高さ1、2メートル。茎は堅く、赤みを帯びた濃褐色で、全体に刺(とげ)がある。葉は単葉広卵形ないし卵円形、長さ4~10センチメートル、3~5に浅裂ないし中裂し、縁(へり)に不規則に鋸歯(きょし)がある。初夏、新枝の先に径約1.5センチメートルの白色の5弁花を3~6個開く。集合果は球形赤色に熟し、食べられる。地下茎で繁殖する。北海道北部を除く全土の低山地から亜高山帯にかけての荒れ地に生育し、中国、朝鮮半島、東シベリアにも分布する。刺や毛の状態、葉の大きさや形は非常に変化する。朝鮮では若い果実を強壮用に薬用とする。名は、クマが食べるイチゴからきたといわれる。造林地の主要な林床構成種である。

[鳴橋直弘 2019年12月13日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クマイチゴ」の意味・わかりやすい解説

クマイチゴ(熊苺)
クマイチゴ
Rubus wrightii

バラ科の低木。日本のほか中国にも分布する。山の斜面谷間などに生える。高さ1~2m。毛は少くとげが多い。葉は互生し広卵形で3~5裂し,欠刻状の鋸歯がある。盛夏に白色5弁の花をつけ,初秋に果実が黄色に熟する。甘みがあり食用となる。クマが食べることからこの名がある。

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世界大百科事典(旧版)内のクマイチゴの言及

【キイチゴ(木苺)】より

…花弁が暗赤色のベニバナイチゴR.vernus Fockeは,本州と北海道の高山に見られ,果実は赤く熟し,北アメリカのsalmonberryと最も似ている植物である。クマが食べるというクマイチゴR.crataegifolius Bunge(イラスト)は,全国いたる所の原野や山地に見られ,花弁は白色,果実は赤色である。茎は黒みを帯び,背が高く,クマのように頑強な植物である。…

※「クマイチゴ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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