石炭を高効率に、かつ環境負荷を最小に抑えながら利用することを目的として、開発が進められている石炭利用技術のこと。略称CCT。石炭は、燃料としての利用のほか、コークス製造の原料としても使用され、供給安定性が高く経済性にも優れるため、世界の重要なエネルギー源となってきた。2020年時点で世界の一次エネルギーのうち石炭が占めるシェアは27%で、石油(31%)に次ぐ第2位の位置を占めている。しかし、ほかの化石燃料と比較して単位当りの二酸化炭素排出量が大きいことや、燃焼により微小粒子物質等を放出すること、また大量に発生する灰の処分が必要となるため、地球温暖化問題や、酸性雨等の地球環境問題への対応が課題となってきた。そのための対応策として重視されたのが、環境調和型の石炭利用技術、すなわちCCTの開発である。たとえば、石炭の液化・ガス化技術は、固体である石炭から灰分、硫黄(いおう)分を除去し、クリーンで取り扱いやすい液体または気体に転換することによって、石炭の幅広い利用を可能にする。このほかに、未燃分(灰分)を減少させるための選炭技術や、熱効率の向上を目ざす燃焼技術、燃焼排ガスの浄化技術、石炭灰の有効利用技術など、石炭のさまざまな加工段階が技術開発の対象となりうる。
日本では、経済産業省がまとめた技術開発ロードマップのなかにCCT関連技術として、高効率石炭火力発電技術(先進的超々臨界圧発電、石炭ガス化複合発電および石炭ガス化燃料電池複合発電)と二酸化炭素の回収・貯蔵Carbon dioxide Capture and Storage(略称CCS)などがあげられている。今後の世界のエネルギー需要増加の中心となるアジアでは、一次エネルギー供給の約半分が石炭に依存していることから、石炭依存の低減とともに石炭のクリーンな利用が重要であり、CCTの活用が重要となる可能性がある。他方、カーボンニュートラルへの取組みが進む場合、石炭利用そのものが大きく減少し、CCT活用も影響を受ける可能性がある。なお、カーボンニュートラルへの取組みのため、石炭火力でCO2フリーのアンモニアを混焼する技術にも注目が集まっている。
[伊藤葉子・小山 堅 2022年1月21日]
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