クロウタドリ(その他表記)blackbird
Turdus merula

改訂新版 世界大百科事典 「クロウタドリ」の意味・わかりやすい解説

クロウタドリ (黒歌鳥)
blackbird
Turdus merula

スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約25cm,いわゆる大型ツグミ類で,雄は全体に黒く,くちばしだけが黄色い。雌は全体に暗褐色でじみ。ヨーロッパ,アジア南部,アフリカ北部に分布し,ニュージーランドには移入されたものがいる。公園,農耕地,林にすみ,地上をピョンピョンはねながらミミズ昆虫を探し出して食べる。落葉をくちばしではねのけながら採食するようすは,日本のアカハラクロツグミと同様である。木の実のある時期には,樹上でもそれらをとって食べる。3~7月ごろの繁殖期には,つがいで一定空間をテリトリーとして占有し,雄は美しい声でさえずる。木の枝のまたなどにカップ状の巣をつくり,4~5個の卵を産みこむ。抱卵は雌だけが行い,育雛(いくすう)は雌雄ともに行う。秋・冬季には小さな群れになることもあるが,大規模な渡りはしない。ヨーロッパではナイチンゲールとともに美しい声でさえずる鳥の代表とされている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロウタドリ」の意味・わかりやすい解説

クロウタドリ
Turdus merula; common blackbird

スズメ目ツグミ科。全長 25cm。雄はと眼のまわりの皮膚が黄色で,体のほかの部分は黒色。雌は全身褐色で,胸腹部に黒褐色の縦斑がある。アフリカ北端域,ヨーロッパのほぼ全域中東から中国東部にかけて広く繁殖分布する。そのほかカナリア諸島マデイラ諸島アゾレス諸島など,大西洋外洋島々でも繁殖している。北部で繁殖する鳥は生息域の南部かそのやや南へ渡って越冬する。おもに低山から平地の林,公園や民家の庭などに生息し,雄の美しいさえずりとスマートな姿ゆえに,ヨーロッパでは特に親しまれている鳥の一種である。スウェーデン国鳥。日本には迷鳥としてまれに渡来する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロウタドリ」の意味・わかりやすい解説

クロウタドリ
くろうたどり / 黒歌鳥
blackbird
[学] Turdus merula

鳥綱スズメ目ヒタキ科ツグミ亜科の鳥。雄は嘴(くちばし)と目の周囲の細い輪が黄色のほかは全身が黒く、この英名ブラックバードがつけられた。日本に限り繁殖分布するクロツグミとは同属であるが別種。全長約25センチメートル。雌は全身褐色で、下面には縦斑(じゅうはん)がある。分布は広く、イギリス、ヨーロッパ大陸、アフリカの地中海沿岸から、東は中国南部まで及ぶ。ほとんど渡りをしない。都会の公園や浅い林に多く、雄の美声と相まって、ヨーロッパではもっとも親しまれている鳥の一つである。おもに地上で昆虫など小動物をとる。

[竹下信雄]

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世界大百科事典(旧版)内のクロウタドリの言及

【ツグミ(鶫)】より

…しかし春告げ鳥のうちでももっとも美しい声をもち,そのさえずりによって人々に恋心を芽ばえさせるといわれる。なかでもウタツグミやクロウタドリは古代ローマ時代から愛玩され,また美味な食物とされた。イギリスでは〈ツグミのパイ〉と称して,大きなパイの中に封じ込め殺さずに焼きあげた王族用の料理があったといわれ,パイを切るとツグミが飛びだすのを楽しんだ習俗が童謡《マザーグースの歌》にも出てくる。…

※「クロウタドリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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