改訂新版 世界大百科事典 「クロウタドリ」の意味・わかりやすい解説
クロウタドリ (黒歌鳥)
blackbird
Turdus merula
スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約25cm,いわゆる大型ツグミ類で,雄は全体に黒く,くちばしだけが黄色い。雌は全体に暗褐色でじみ。ヨーロッパ,アジア南部,アフリカ北部に分布し,ニュージーランドには移入されたものがいる。公園,農耕地,林にすみ,地上をピョンピョンはねながらミミズや昆虫を探し出して食べる。落葉をくちばしではねのけながら採食するようすは,日本のアカハラやクロツグミと同様である。木の実のある時期には,樹上でもそれらをとって食べる。3~7月ごろの繁殖期には,つがいで一定空間をテリトリーとして占有し,雄は美しい声でさえずる。木の枝のまたなどにカップ状の巣をつくり,4~5個の卵を産みこむ。抱卵は雌だけが行い,育雛(いくすう)は雌雄ともに行う。秋・冬季には小さな群れになることもあるが,大規模な渡りはしない。ヨーロッパではナイチンゲールとともに美しい声でさえずる鳥の代表とされている。
執筆者:樋口 広芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報