改訂新版 世界大百科事典 「グラストンベリー」の意味・わかりやすい解説
グラストンベリー
Glastonbury
イギリス,イングランド南西部サマセット州の古都。人口6770(1981)。伝説によれば,紀元1世紀アリマタヤのヨセフがこの地に〈聖杯〉(十字架にかけられたキリストの血を入れたとされる杯)を持ち来たったといわれる。そのため,グラストンベリーこそイングランド最初のキリスト教伝来の地である,とする伝説が生まれ,この地に残る名高い修道院の遺跡は,アングロ・サクソン人やデーン人の侵入にも,またノルマン人の征服にも耐え抜いた,ゆるぎなきキリスト教の栄光の証しであると,うたわれている。また1191年にここで発見されたアーサー王とその妃ギネビアの遺体が,1276年,エドワード1世立会いの下に,再び同修道院の中央祭壇前に埋葬されたという伝説と相まって,〈アーサー王伝説〉ゆかりの名所となっている。
執筆者:安東 伸介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報