改訂新版 世界大百科事典 「グリーナウェー」の意味・わかりやすい解説
グリーナウェー
Kate Greenaway
生没年:1846-1901
イギリスの絵本作家。父は有名な彩色木版製作者エバンズ E.Evansと親しい木版作家だった。10代で早くも画才を発揮し,自作の絵と文章で構成した愛らしい絵本《窓の下で》(1878)をエバンズの製作で刊行,初版10万部を売りつくすベストセラーとなった。彼女の彩色挿絵に描かれる少女たちは,フリルとリボンに飾られた服とボンネットを着けていたため,この18世紀末の上品な子ども服が彼女の絵本とともに大流行したという。その後も《ケートの誕生日の本》(1880)などを世に出し,1883年から97年にかけては,96年を除いて毎年《年刊暦Almanacs》を刊行,子どもにも大人にも大いに愛された。質素だが優美なビクトリア朝期の田園生活を最も忠実に描いた絵本作家といえるが,一方,水彩画家としてはラファエル前派の影響を受け,ラスキンの賞賛と奨励を得た。
執筆者:荒俣 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報