イギリスの劇作家シェークスピアの喜劇。通常「ロマンス劇」と称せられる作品群の一つ。嵐(あらし)の意味。1611年11月1日宮廷で初演。単独作としては彼の最後の作品である。出版は1623年。邪悪な弟アントニオにミラノ公国を奪われたプロスペローは娘ミランダとともに孤島に住んでいるが、魔法によって弟やナポリ王アロンゾらの乗った船を難破させる。彼らはこの島に漂着するが、アロンゾの子息ファーディナンドがミランダと恋に陥る。彼女はこれまで、男といっては、父と召使いの怪物キャリバンしか見たことがなかったので、彼女はいわば第三の男に恋をしたことになる。彼はプロスペローの課した厳しい試練に耐えて、結婚を許される。アントニオも公爵領を返還することを条件に罪を許される。プロスペローは魔法の杖(つえ)を折り、長らく召し使った妖精(ようせい)エアリエルを解放し、一同とともに帰国することになる。時間と場所と筋の統一を主張する古典主義のいわゆる「三一致の法則」を守ったシェークスピア唯一の戯曲である。単独作としては最後の作品であるところから、作者が劇壇引退の心境をプロスペローに託したと解する批評家もいるが、晩年のシェークスピア劇に共通した和解のテーマが顕著である。
[小津次郎]
『豊田実訳『あらし』(岩波文庫)』
…イギリスにユークリッドの幾何学とウィトルウィウスの建築学を導入し,旧来の魔術を科学の域に高めようとしたが,一般には黒魔術師との誤解を受けた。シェークスピアの戯曲《テンペスト》の主人公プロスペローは,彼をモデルにしたものと考えられている。ケンブリッジのセント・ジョンズ・カレッジに学び,若くしてオランダやフランスに遊学,ギリシア語にたんのうなことからギリシアの数学と哲学の研究に専心したが,同時にフィチーノやピコ・デラ・ミランドラらのイタリア神秘哲学に傾倒,イギリスにおける最初で最大のヘルメス主義者となった。…
※「テンペスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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