誕生日(読み)タンジョウビ

デジタル大辞泉 「誕生日」の意味・読み・例文・類語

たんじょう‐び〔タンジヤウ‐〕【誕生日】

人の生まれた日。毎年迎える誕生記念日誕辰たんしんバースデー

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精選版 日本国語大辞典 「誕生日」の意味・読み・例文・類語

たんじょう‐にちタンジャウ‥【誕生日】

  1. 〘 名詞 〙たんじょうび(誕生日)
    1. [初出の実例]「当御所御誕生日、正月二日之間、来月御読経、可為件日事」(出典:東寺百合文書‐ち・嘉吉三年(1443)八月二七日・二十一口方評定引付)
    2. 「息子どのの誕生日(タンジャウニチ)」(出典:浮世草子好色万金丹(1694)一)

たんじょう‐びタンジャウ‥【誕生日】

  1. 〘 名詞 〙 その人の生まれた日。誕生の当日。また、誕生の日付と同じ日付の日。バースデー。たんじょうにち。たんじつ。
    1. [初出の実例]「明後日は姫君さまの、御誕生日(タンジャウビ)のお祝ひ」(出典:人情本・清談若緑(19C中)初)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「誕生日」の意味・わかりやすい解説

誕生日
たんじょうび

誕生を記念する日。日本では古くは、毎年の誕生日を祝う風はなく、明治以後徐々に行われるようになった。古来日本では、年齢を数え年で数え、1年の初めに全家族が年重ねの祝いをするため、各個人の誕生日を祝う慣習は生じなかった。しかし子供の初誕生日を祝うことは昔から全国に広く行われていた。近世におけるその例を、屋代弘賢(やしろひろかた)や石原正明(まさあき)の計画した『諸国風俗問状答(といじょうこたえ)』にみられるものを記すと次のごとくである。越後(えちご)国長岡領(新潟県)では年々の誕生祝いはせず、数え年2歳の初誕生日に親戚(しんせき)、医師、取上げ婆(ばば)などを招き、餅(もち)を搗(つ)き強飯(こわめし)などをつくる。田舎(いなか)では小児の手を引いて歩ませ、後ろから箕(み)であおぎ鏡餅で腰のあたりを打つまねをする。これを力餅といって、こうすると子供がじょうぶに育つという。丹後(たんご)国峰山領(京都府)でも年々の誕生祝いはしない。数え年2歳の初誕生日には在方(ざいかた)では心祝いとして赤飯をつくり親戚などへ配るとある。備後(びんご)国浦崎村(広島県)では初誕生日には男児には餅を搗き、女児なら赤飯をつくり神々に供え、医師、出産の手伝いをした姥(うば)や親戚に贈った。淡路国(兵庫県)では場所によって初誕生日に座敷の床(ゆか)に箕か盆を置き鏡餅をのせ、その上を小児にまたがせる風がある。年々の誕生日を祝うことはあまりない。備後国今津村(広島県)では初誕生日の祝いには医師、取上げ婆、親類を招き、赤飯、餅をつくり関係筋へ贈った。その後は心祝い程度にし、氏神に参ったりした。

 現代の誕生日の習俗は以上ととくに変わったこともないが、ただ毎年家々で祝いをし、ごく親しい親子兄弟、友人を招いたり贈り物をしたりしている。ただ生児の初誕生日にはやはり特殊な風習がある。初誕生日をムカイドキ、ムカワリと称する土地がある。この時期は子供が歩き始めるときなので、全国を通じて餅踏みなどという行事が行われている。九州では鹿児島県をはじめ各地で大きな鏡餅をつくり、その上に立たせる。信州(長野県)の各郡では餅を搗き子供に背負わせて箕の中に立たせる。そして「しいな(粃)が舞って実(み)が残れ」と唱える。また一升餅を子供に背負わせて歩かせ、それにブッタオシ餅と称して子供にぶっつけて転ばす例が関東各県にある。誕生日前に歩きだす子は親を見捨てるなどといって、早く歩きだすのを嫌う風があったためである。誕生餅は産見舞いをもらった家に配った。そのお返しには履き物や豆類を贈った。まめに歩けるようにとの意味であった。初誕生日の祝いで全国に広く行われている習俗に「エラビドリ」がある。子供の前に筆、物差しそろばんなどを置いてそれを子供にとらせる。その最初に手をつけたもの、たとえば筆をとれば将来字が上手になる、物差しをとれば裁縫がうまくなるなど、子供の将来を占う風習である。

[大藤時彦]

外国

誕生日を記念して祝う習慣は、時間の数え方や時間の概念そのもの、さらに宗教的な観念にまで結び付いている。民族によっては、誕生の年月日を記憶にとどめたりしない場合もあるが、世界の多くの民族では誕生日を記念する習慣をもつ。誕生日の数え方は民族によって異なり、年ごとのほかに、ビルマ人のように週ごとに数えることもある。ミャンマービルマ)では、子供が何曜日に生まれたかによって性格や運命を予言し、その曜日名の文字の一つを名前の頭(かしら)につけ、毎週の自分の誕生日になるとパゴダにろうそくを捧(ささ)げる習慣になっている。ドイツでは、日曜日に生まれた子は、精霊たちを見たり、暗闇(くらやみ)でものを見たりすることができて、幸運に恵まれているという。マヤ人は、子供が最初に歩いた日、話した日などを誕生日として祝っていた。ユダヤ人は男の子の13回目の誕生日を成人の日として祝う。中国、朝鮮、日本などでは年とってからの誕生日、とくに61回目の誕生日は重視され、盛大に長寿を祝う。さらに、個人のほか、神の誕生日を記念する祭りも、世界各地の宗教において、しばしばみられることも注目される。

[清水 純]

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改訂新版 世界大百科事典 「誕生日」の意味・わかりやすい解説

誕生日 (たんじょうび)

誕生の日,またはその後の誕生の記念日。誕生にさいして,家族や集団の増加を祝い,また新生児の集団や宗教への参加を承認する儀式はどの地方でもみられるが,誕生日を記念することは時間の観念のかなり発達した民族でなければ存在しない。たとえばアフリカ,北アメリカの原住民の一部では計算は邪悪であり,時間は計算できないと信じられているので,世代を区切る年齢集団はあるが,年齢の計算や誕生日の記念はおこなわれない。しかし多くの民族においては,誕生日は人生のある段階から他の段階へ移る重要な折り目とみなしており,この時期は善悪の神霊が係争する危機であるとされる。現在西洋では誕生日にバースデー・カード(誕生日のカード)その他の贈物の交換をし,バースデー・パーティをおこなうことがふつうであるが,それは贈物や共同飲食によって善悪の神霊や,代母(ゴッドマザーgodmother)や,血縁の有力者と親密な関係を結んで子どもの将来を保証するものであり,同時に共同体または友人と子どもとの結束をかためる意味があった。アメリカ合衆国では誕生日の菓子(バースデー・ケーキ)の上に年の数だけのろうそくを立ててバースデー・パーティの食卓を飾る。ろうそくの火をすべて一息で吹き消したなら願いがかなうといわれ,子どもは成長した自分の力を誇示しようと躍起になるが,この遊戯は誕生日において過去を消し去り,新しく出発することを象徴するものであったろう。週または月ごとに誕生日を祝う習慣は西アフリカ,ミャンマー,古代シリアなどにみられ,西アフリカのツィ族は誕生日に卵を自分の体に塗って守護神に幸福を祈るという。キリスト教の殉教者は死んだ日が誕生日として祝われる。死によって彼らは永遠の生命をもつものとして誕生すると考えられているからである。しかしバプテスマのヨハネと聖母マリアは原罪を免れているので出生の日を誕生日とする。キリスト生誕の日の12月25日はユリウス暦の冬至(とうじ)にあたり,おそらく衰えた太陽の再生を祝う異教徒の儀式がキリスト教化されたものであろう。聖者,殉教者の誕生日が教会の祝日となっているように,国家の王,指導者の誕生日も国家の祝日となることが多い。なお一般に誕生の日,時,所は占師によってその人の運命を決定するものとして判断される。またヨーロッパ,とくにドイツの農民の間では子どもの誕生とともに植樹がおこなわれるが,この樹木は子どもの生涯の幸福と神秘的な関連があると信じられている。スイスでは男児にリンゴの木,女児にナシの木が植えられる。このバースデー・ツリー(誕生日の木)には,成長した木が子どもの運命と関連する樹木として選ばれることがあり,後産とへその緒が樹木の下に埋められたりする。誕生日の木はパプア族,ボルネオ原住民,バリ島人,マオリ族,アメリカ・インディアン,アフリカなどにもみられ,多くの民間説話に語られる。

 日本の習俗では,一般人の間で誕生日を祝うのは満1年の初誕生日に限られていた。初誕生以外に年々の誕生日を祝い,贈答などをする風習は,古くは日本になかった。明治以後一般化しつつある年々の誕生日の祝いはヨーロッパの風習の影響によるものである。ちなみに61歳,70歳などの一定の年齢に達したことを祝う賀の風習は中国から伝えられ,日本でも古くからおこなわれている。
算賀 →出産 →初誕生
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デジタル大辞泉プラス 「誕生日」の解説

誕生日

日本のポピュラー音楽。歌はシンガーソングライター、熊木杏里。2008年発売。NTT東日本「DENPO」CMソングに起用。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「誕生日」の意味・わかりやすい解説

誕生日
たんじょうび

誕生祝い」のページをご覧ください。

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