改訂新版 世界大百科事典 「グローテフェント」の意味・わかりやすい解説
グローテフェント
Georg Friedrich Grotefend
生没年:1775-1853
ドイツの古代言語学者。古代オリエントの楔形文字の最初の解読者の栄をになう。1795年ゲッティンゲン大学に入り,卒業後は,ゲッティンゲン,フランクフルト・アム・マイン,ハノーファーのギムナジウムで古典語などを教え,1821-49年,ハノーファーのリュツェウム(フランスのリセのドイツ語訳)の校長であった。27歳のとき(1802),ゲッティンゲン学士院に,ペルセポリスの短い3種の楔形文字で書かれた王碑文のうち最も簡潔な文字で書かれた碑文の解読の鍵を発見したと報告した。この報告のなかで彼は,この碑文が古代ペルシア語で左から右に書かれていること,および文字がアルファベットであることを前提として,ヘロドトスや旧約聖書から知られる古代ペルシアの王名より類推して,3人の王名をほぼ正しく解読し,楔形文字解読の方法を正しい方向に乗せた。しかしこの業績が正当に評価されたのは1823年以降のことであった。
執筆者:山本 茂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報