オリエント世界に君臨したアケメネス朝ペルシャ(紀元前6~同4世紀)の王宮跡。アレクサンダー大王の東征で炎上した。イラン人には「王の座」と呼ばれる。1979年のイラン革命で追放されたパーレビ元国王が権力を誇張するために利用したこともあり、革命政権は当初、遺跡保全に熱心ではなかった。シリアのパルミラ遺跡、ヨルダンのペトラ遺跡とともに「中東の3P」とも形容される。(シラーズ共同)
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ペルシア帝国の都。ペルセポリスはギリシア人の呼称で,古代ペルシア語名はパールサPārsa。遺跡は現在タフテ・ジャムシードTakht-e Jamshīd(〈ジャムシードの玉座〉の意)と呼ばれている。イラン南部シーラーズの北東約60kmにある。ダレイオス1世,クセルクセス1世の2代にわたって造営された。クーヘ・ラフマトKūh-e Rahmat(〈慈悲の山〉の意)西斜面の自然の岩盤に,一部,切石積みを施して,西側面455m,南側面290mのほぼ平行四辺形をなした大基壇が造成され,その上に謁見殿(アパダーナ),ダレイオス宮殿,クセルクセス宮殿,中央殿,百柱殿,後宮(ハレム),宝蔵などが建てられた。この建設工事にはイオニア,リュディア,シリア,エジプト,アッシリア,バビロニアのほか,バクトリア,ソグドなど,帝国各地から多くの工人,労働者が動員された。後述のエラム語文書には,約20の民族名が証される。
ペルセポリスの建築,彫刻,工芸,装飾には古代芸術の諸要素が認められるが,それは単なる折衷ではなく,世界支配者ダレイオスの統一的な意志のもとに総合された新しい様式の創出を示している。大基壇北西部の大階段(高さ11.7m)を上ると,クセルクセスが完成した門があり,それは〈万国の門〉と名づけられた。また,謁見殿は帝国支配にとって最も重要な行事である新年祭の儀式が執行される場所であり,その階段側壁には,新年祭に参賀した,中央アジアやインダス地方からエジプト,エチオピアにいたる,23の主要臣属民族の朝貢行列図が浮彫されている。
ペルセポリスが世界帝国の都を意図して建設されたことは明らかである。しかし,実際にはスーサが行政の首都として利用されたので,アケメネス朝後期には王がペルセポリスを訪れることはまれになり,わずかにアルタクセルクセス3世の建築活動が知られているにすぎない。前331年末,侵入してきたアレクサンドロス大王の軍は,ここでスーサの3倍に達する額の財宝を得たという。翌年春,マケドニア・ギリシア軍の報復の放火によって廃墟と化した。
巨大な柱を残した遺跡は,イスラム時代の史料に〈千の柱〉とか〈四十の尖塔〉などの名で言及されている。17世紀以降,ヨーロッパの旅行者が訪れるようになり,そこで写し取られた碑文が,グローテフェントの楔形文字解読の手がかりとなった。1931-39年,シカゴ大学オリエント研究所は,ペルセポリスとナクシ・ルスタムなど周辺地域の発掘調査を行い,その成果を大冊3巻(1953-70)にまとめて報告している。その際,宝蔵と城砦施設から出土した多数のエラム語粘土板文書も,同研究所から刊行されている。アメリカ隊の後,イラン考古局による発掘調査が続けられ,1964年からはイタリア中・極東研究所が遺跡の修復保存作業にあたった。
執筆者:佐藤 進
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イラン南西部、シーラーズ市の北東約70キロメートルにあるクーフ・アッラフマト山麓(さんろく)に営まれた古代ペルシア帝国の都市。アケメネス朝ペルシアのダリウス1世が帝国の新しい首都として、紀元前520年に建設を始め、その後歴代の王が増改築を継続した。行政府としての政治の中心はスーサに置かれていたので、ペルセポリスは王の儀式や祝祭などを行う神聖な役割をもつ都であった。建造物は山の斜面に造成された広大なテラス上に配置されている。代表的遺構はダリウスの宮殿、100本の列柱があったところから百柱殿とよばれる大広間、柱頭に獅子(しし)や牡牛(ぼぎゅう)を彫った柱がある謁見殿、クセルクセスの宮殿、宝物庫、ハレムなどである。謁見殿の階段に残る朝貢する被征服民族の浮彫りも名高い。前330年マケドニアのアレクサンドロス大王によって帝国は滅ぼされ、ペルセポリスも廃都と化した。1931年からシカゴ大学の発掘調査が行われた。1979年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[吉村作治]
アケメネス朝の首都。イラン南西部のシーラーズの北東約60kmにある。ダレイオス1世以来3代かけて完成された王宮は壮観で,宝庫,ハーレム,謁見の広間,列柱殿の遺跡,豪華な大円柱や浮き彫りは,この王朝芸術の粋である。アレクサンドロス大王によって焼き払われた。
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