日本大百科全書(ニッポニカ) 「グンゼ」の意味・わかりやすい解説
グンゼ(株)
ぐんぜ
肌着のトップメーカー。1896年(明治29)に波多野鶴吉が生糸の製造販売を目的として京都府何鹿(いかるが)郡(現、綾部市)に郡是(ぐんぜ)製糸を設立。優良繭を買い入れて優等糸の生産につとめ、大正末には全国26工場を有し、長野の片倉製糸とともに日本の二大製糸会社に発展した。昭和初期に人絹糸の台頭が蚕糸業に脅威をもたらしたが、同社はアメリカ市場向けの婦人靴下用生糸生産に活路を開いた。第二次世界大戦中には郡是工業と改称して、航空機部品などの軍需生産に転換、終戦後の1946年(昭和21)郡是製糸の社名に戻り、製糸事業への復帰を目ざした。しかし、ナイロンの登場によるアメリカの靴下用生糸市場の消滅などのため、生糸事業からしだいに撤退し、ナイロン靴下やメリヤス肌着などの繊維加工事業を育成強化しながら、アパレル事業への転換を図り、1967年に社名をグンゼと改称した。さらにアパレル市場成熟化のもとで、プラスチックや緑化事業などの非繊維事業に進出するなど、積極的に事業多角化を展開している。資本金261億円(2008)、売上高1335億円(2008)。
[中村青志]
『グンゼ株式会社編・刊『グンゼ100年史 1896―1996』(1998)』