日本大百科全書(ニッポニカ) 「グンバイムシ」の意味・わかりやすい解説
グンバイムシ
ぐんばいむし / 軍配虫
lace bugs
昆虫綱半翅(はんし)目異翅亜目グンバイムシ科Tingidaeの昆虫の総称。同じ亜目のサシガメに近縁といわれる。体長1.5~7ミリメートルと小形で、体は扁平(へんぺい)のことが多い。前胸背や半翅鞘(はんししょう)(はね)は網目構造となり、レース模様のようである。はねは横に広くなることがあり、ちょうど軍配の形となり、これが和名の由来である。熱帯、亜熱帯を中心に世界で約2000種が知られ、日本には約60種が分布する。すべて植物に寄生し、普通、葉裏から吸汁する。寄生された葉は葉緑素(クロロフィル)を吸われるので白斑(はくはん)が現れ、加害がひどいと枯れてしまう。年数回羽化し、晩夏から初秋にかけてかなり多数が発生する。寄生植物には種の特異性が多少ともみられ、ツツジの害虫とされるツツジグンバイStephanitis pyrioides、ナシなどバラ科樹木を加害するナシグンバイS. nashi、ヤマボウシにはトサカグンバイS. takeyaiなどが知られる。アザミ類にすむ日本最大種で体長7ミリメートルになるアザミグンバイTingis ampliataはおもに葉の表にみられ、群生はしない。また、スギゴケなどに寄生するマルグンバイAcalypta spp.も知られる。
[林 正美]