日本大百科全書(ニッポニカ) 「けがき」の意味・わかりやすい解説
けがき
けがき / 罫書
加工すべき外形形状およびその寸法、あるいは穴の形状・寸法そしてその位置を示すために、工作物上に直線、円、中心を描く作業。一般的なけがき工具には、けがき針、トースカン、ハイトゲージ、Vブロック、定盤(じょうばん)、金ます、コンパス、ハンマー、ポンチなどがある。けがき線を引く前に、線を見やすくするために塗料を塗る。黒皮(鋳物や鍛造したままの面)には、胡粉(ごふん)やチョーク(白墨)を使う。ただし仕上げ面に胡粉を使うと、それに含まれている水分のためさびの原因になるので、青タケが多く使われる。最近では、乾きが早く簡単に落ちない油性マジックインキが使われることもある。
[清水伸二]
ケガキ
けがき / 毛牡蠣
spiny oyster
[学] Saccostrea kegaki
軟体動物門二枚貝綱イタボガキ科の二枚貝。日本海側では北海道南部以南、太平洋側では房総半島以南の岩礁潮間帯に群がって付着している。付着生活をするため殻形は一定しないが、多くは円形から方形で、殻高、殻長ともに50ミリメートル、岩のやや平らな所に左殻全面で固着していて、膨らみは弱く、殻幅10ミリメートルぐらいである。右殻はほとんど平らで、殻表は灰紫色、縁部は黒みが増し、黒い管状の棘(とげ)が密生する。内面は灰緑色で、縁部は刻み目がある。外套腔(がいとうこう)の中にしばしば寄生ガニであるクロピンノがすむ。食用となるが小形のため市場に出るほどではない。
[奥谷喬司]