ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アッテンボロー」の意味・わかりやすい解説
アッテンボロー
Attenborough, Richard
[没]2014.8.24. ロンドン
イギリスの俳優,映画監督,制作者。フルネーム Richard Samuel Attenborough, Baron Attenborough of Richmond-upon-Thames。3人兄弟の長男で,弟の一人は自然を題材にしたドキュメンタリーの名手デービッド・アッテンボロー。ロイヤル演劇アカデミーを卒業した 1942年,ノエル・P.カワードとデービッド・リーンによる映画『我らが奉仕するもの』In Which We Serveで俳優としてデビューした。第2次世界大戦中の 1943~46年イギリス空軍に所属したのち,数本の映画に出演し演技力を高く評価された。『ドリトル先生不思議な旅』Doctor Dolittle(1967)でゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞。その後長期の空白を経て,再び俳優としてスティーブン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』Jurassic Park(1993)に出演した。映画監督としては 1969年に初の作品としてミュージカル『素晴らしき戦争』Oh! What a Lovely Warを発表。モハンダス・カラムチャンド・ガンジーの伝記映画『ガンジー』Gandhi(1982)はアカデミー賞の作品賞と監督賞を含む 8部門に輝いた。その他の作品に『遠い夜明け』Cry Freedom(1987),『永遠の愛に生きて』Shadowlands(1993)などがある。1973~95年イギリス・アカデミー賞 BAFTA副会長,2002~10年同会長,2003年からロイヤル演劇アカデミーの校長を務める。1967年に大英帝国三等勲功章 CBEを受章。1976年ナイトに,1993年一代貴族に叙せられた。
アッテンボロー
Attenborough, Sir David
イギリスの革新的教育テレビ番組の制作者・脚本家。幼少時から博物学に興味をもち,1947年にケンブリッジ大学のクレア・カレッジで修士号を取得。1949年から教育関連の出版社に勤務し,1952年に BBC(イギリス放送協会)のテレビ番組プロデューサーになった。1954年,爬虫類専門の学芸員ジャック・レスターと共同で『動物をもとめて』Zoo Questというシリーズの番組を始めた。野生の世界や動物園に暮らす動物を紹介するこの番組は大好評となり,BBCの教育番組の範囲を広げた。1965年に新設の BBC第2チャンネルの局長に就任,ドラマ『フォーサイト家』The Forsyte Sagaのほか,ジェーコブ・ブロノウスキの『人間の進歩』The Ascent of Man,ケネス・クラークの『文明』Civilisationといった,画期的な文化教育ドキュメンタリーを制作した。1968~72年に BBCのテレビ編成局長を務めたのち退職,フリーランスでテレビ番組の脚本と制作を手がけた。人類学と博物学の三部作,『部族の眼』The Tribal Eye(1976),『地球に生きる』Life on Earth(1979),『生きものたちの地球』The Living Planet(1984)は各方面で表彰され,国際的にも人気番組となった。1985年にサーの称号を授与された。兄のリチャードは俳優で映画監督。
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