日本大百科全書(ニッポニカ) 「コハナバチ」の意味・わかりやすい解説
コハナバチ
こはなばち / 小花蜂
sweat bees
昆虫綱膜翅(まくし)目コハナバチ科に属するラシオグロッサム属Lasioglossumのハナバチの総称。世界中に広く分布し、約2000種を数える。ハリクトゥス属Halictusもコハナバチとよばれるが、これらは種類数もはるかに少なく、分布も狭い。ラシオグロッサム属は小形のハナバチで、前翅の基脈が弧状に強く湾曲するのが特徴の一つ。また雌バチの第6背板先端にほぼ三角形の模様がある。地中に集団で営巣するが、1匹の雌バチが一つの巣をつくるものから、1匹の雌バチが産んだ数匹の娘バチが母バチと共同で営巣する社会性のものまで、その習性や巣の作り方に変化が多く、ハナバチの習性の進化の研究に好個の材料となっている。
日本にはアカガネコハナバチHalictus aerarius、シロスジコハナバチLasioglossum occidens、ホクダイコハナバチL. duplexなど約60種を産する。ホクダイコハナバチはその営巣習性がもっともよく研究された種類である。英名は「汗蜂」の意で、ヨーロッパやアメリカでは汗ばんだ人に群がる種類がある。近縁のハナバチにはヒメハナバチヤドリ属Sphecodes(コハナバチの巣に寄生)、フシダカハナバチ属Rhopalomelissa(巣の入口に土でつくった垂直の「煙突」をつくる。また、イネの花粉を集めて幼虫の食料にする珍しい種類もいる)、アシブトハナバチ属Pseudapis、アオスジハナバチ属Nomiaなどがある。
[平嶋義宏]