コバネガ(読み)こばねが

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コバネガ」の意味・わかりやすい解説

コバネガ
こばねが / 小翅蛾

昆虫綱鱗翅(りんし)目コバネガ科Micropterigidaeの総称。きわめて小形のガ類で、世界に約90種、日本には9種が知られている。成虫は昼間活動性で、低山地から高山帯の日陰または半日陰の下草蘚苔(せんたい)類の上にみられる。晩春から初夏に出現するが、いずれの種も発生期は短い。幼虫蘚苔類を食べる。一般のガ類の幼虫と異なり、吐糸(とし)管をもっていない。成虫の口器は、大あごがよく発達して機能的であり、ほかのガ類の口吻(こうふん)(舌(した))とはこの点で本質的に異なるばかりでなく、前翅後翅の脈相がほぼ等しい。あらゆる点からみて、コバネガ科は鱗翅目のなかでもっとも原始的で、祖先型の形質をよく残しており、昆虫の進化を研究するための材料としてきわめて貴重である。鱗翅目を五つの亜目に分類し、各科をそのなかに配列するが、コバネガ科は1科でコバネガ亜目Zeuglopteraを形成する。そしゃくする口をもつガの化石は、1000万年以上前のものが発見されている。

[井上 寛]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コバネガ」の意味・わかりやすい解説

コバネガ
Micropterigidae

鱗翅目コバネガ科の昆虫の総称。翅の開張 10mm内外。鱗翅類中最も原始的な形態をもつ小型のガで,咀嚼型の口器をもつ点でも他のすべての鱗翅類と異なる。昼間飛翔性。幼虫はコケ類を食べ,食草面に営繭する。蛹は大腮をもち羽化の際これを使って繭を切開する。世界各地に産するが種類は少い。日本産は9種。

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