コリントス運河ともいう。ギリシア本土とペロポネソス半島の間のコリント地峡を開削して、テルマイコス湾(サロニカ湾)とコリント湾を短絡する海洋運河。エーゲ海諸港とアドリア海諸港との間を航海する船は、この運河を利用することによりペロポネソス半島南端の迂回(うかい)を避け、航程を約370キロメートル短縮することができる。1882年起工、1893年8月開通。延長6.4キロメートル、幅員24.6メートル、水深8メートル。頁岩(けつがん)の地層からなる台地を深くえぐってつくられ、水面から台地上までの比高は最大86メートルに達する。運河内に閘門(こうもん)はまったくない水平式運河であるため、両端のコリント湾とテルマイコス湾の干満の時間的ずれにより、運河内に強い潮流を生ずることがある。幅員が狭いため、現在はおもに観光船が利用している。
[青木栄一・青木 亮]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報