食の医学館 の解説
これすてろーるがたかめのかたのしょくひん【コレステロールが高めの方の食品(具体的な商品名)】
この蓄えられた脂肪が中性脂肪(ちゅうせいしぼう)で、じつは人間が生きていくうえでたいせつな役割をになっているのです。
〈大事な役割をはたす中性脂肪の働きとは〉
たとえば、活動に必要なエネルギー源が食事などをとおして供給されない場合、中性脂肪がエネルギー源になってくれます。その場合、中性脂肪は「遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)」という物質に分解されて血液中に送り出され、全身に運ばれます。そして体内の各部分の細胞が正常に活動するためのエネルギー源となるわけです。
また、体温調節や内臓などの器官を衝撃からまもる役割もはたしています。
ですから、中性脂肪の量が極端に少ないのは、いい状態とはいえないのです。しかし、たまりすぎると肥満になり、動脈硬化(どうみゃくこうか)、脳血管障害、糖尿病などの原因になりかねません。
とくにだれもが運動不足ぎみで、なおかつ飽食の時代といわれる現代では、中性脂肪のたまりすぎに悩む人が多いようです。
〈脂肪になりにくい成分を利用した食用調理油〉
特定保健用食品のなかでは、「食後の中性脂肪の上昇を抑えて体脂肪をつきにくくする食品」として、食用調理油があります。この油には、「ジアシルグリセロール」という成分が利用されています。この成分が、従来のものとちがった働きをして、中性脂肪をたまりにくくするのです。
天然の油脂の主成分は、「トリアシルグリセロール」といって、グリセリンに長鎖の脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸など)が3個結合したものです。ジアシルグリセロールは、天然の油脂にも1~10%含まれているものですが、トリアシルグリセロールとは構造が異なります。グリセリンに長鎖脂肪酸が2個結合してできているのです。こうした化学構造のちがいから、通常の油脂とは消化、吸収、代謝のしくみが異なります。小腸で吸収されたあと、脂肪に再び合成されにくい性質をもっているのです。
ですから、ジアシルグリセロールを主成分としている食用調理油は、血中中性脂肪が増加しにくく、体脂肪の蓄積が少ないのです。
〈脂肪の吸収を抑える清涼飲料水〉
体脂肪をつきにくくする特定保健用食品として許可を得た食品群には、食用調理油以外では清涼飲料水があります。食後に1本、飲むことで、その効果が期待できるというものです。
この飲料水には「グロビンたんぱく分解物」という成分が利用されています。
これは、グロビンたんぱくを酵素分解して得られたオリゴペプチドの混合物で、脂肪の吸収を抑える作用があります。
食事をすると脂肪を分解する酵素(膵(すい)リパーゼ)が膵臓から分泌(ぶんぴつ)されます。グロビンたんぱく質分解物は、小腸内で膵リパーゼの働きを抑制する働きをもっています。
そのため、脂肪が分解されにくくなり、吸収が抑えられるわけです。
また、インスリンの働きを活発にして、血液中の中性脂肪を代謝する酵素を活性化する働きもあります。
さらに脂肪細胞の分化・増殖を抑える作用もあるので、体脂肪の増加を抑制してくれます。