日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロナド鉱」の意味・わかりやすい解説
コロナド鉱
ころなどこう
coronadite
鉛(Pb)を主成分の一つとして含む二酸化マンガンの鉱物。鉛のバリウム置換体であるホランド鉱とともにホランド鉱群を構成する。ほとんどつねに検出されるH2Oを化学式に加える見解もある。自形は未報告。繊維状物質の集落状集合からなる層状集合をなすことが多い。
堆積(たいせき)性二酸化マンガン鉱床の構成成分、菱(りょう)マンガン鉱を脈石とする亜鉛・鉛熱水鉱脈鉱床の酸化帯中、熱水鉱脈鉱床中の初生鉱物、温泉沈殿物などとして産する。日本では北海道檜山(ひやま)郡上ノ国(かみのくに)町上国(じょうこく)鉱山(閉山)の浅熱水性亜鉛・鉛・マンガン鉱脈鉱床の酸化帯から産する。
共存鉱物はホランド鉱、軟マンガン鉱、菱マンガン鉱、石英など。硫化物の初生鉱物との直接共存はない。同定は密集固化しているものであれば、大きな比重や比較的高い硬度が特徴の一つとなり、これによる。同様の特徴をもつホランド鉱とは識別しがたいこともある。命名はスペインの探検家フランシスコ・バスケス・デ・コロナドFrancisco Vasquez de Coronado(1500―1554)にちなむ。
[加藤 昭 2016年9月16日]