菱マンガン鉱(読み)りょうマンガンこう(その他表記)rhodochrosite

翻訳|rhodochrosite

精選版 日本国語大辞典 「菱マンガン鉱」の意味・読み・例文・類語

りょう‐マンガンこう‥マンガンクヮウ【菱マンガン鉱】

  1. 〘 名詞 〙 ( マンガンは[オランダ語] mangaan [ドイツ語] Mangan ) 炭酸マンガンを主成分とする鉱物淡紅または褐色ガラス光沢六方晶系菱面体結晶。塊状堆積岩または熱水性鉱脈中に産する。〔鉱物字彙(1890)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「菱マンガン鉱」の意味・わかりやすい解説

菱マンガン鉱
りょうまんがんこう
rhodochrosite

マンガンの鉱石鉱物の一つ。日本ではおもに中生代の珪(けい)質堆積(たいせき)岩中あるいはその変成産物中に鉱層をなすほか、熱水鉱脈鉱床の脈石をなす。また、気成鉱床の脈石鉱物としても出現する。自形は菱面体で比較的単純。鉱層中ではマンガン酸化物、マンガン珪酸塩などとともに高品位鉱を形成する。脈石では、鉄、亜鉛、鉛、銅、銀、金、アンチモンなどの硫化物を伴い、マンガン自身の硫化物も伴われる。ごく少量の成分変化で、白、灰、淡褐、茶褐色などを呈し、「白色炭(たん)マン」「栗色(くりいろ)炭マン」などと俗称される。接触変成を受けた堆積岩中のものとしては、岩手県九戸(くのへ)郡野田村野田玉川鉱山閉山)、栃木県鹿沼(かぬま)市加蘇(かそ)鉱山(閉山)などが有名であり、熱水鉱脈中のものとしては、北海道上ノ国(かみのくに)町上国(じょうこく)鉱山(閉山)、同古平(ふるびら)町稲倉石(いなくらいし)鉱山(閉山)などが有名である。英名はギリシア語の「ばら」に由来する。

加藤 昭 2018年12月13日]



菱マンガン鉱(データノート)
りょうまんがんこうでーたのーと

菱マンガン鉱
 英名    rhodochrosite
 化学式   Mn[CO3
 少量成分  Mg,Fe,Ca,Zn
 結晶系   三方
 硬度    3.5~4
 比重    3.70
 色     淡桃,白,灰,褐
 光沢    ガラス
 条痕    白
 劈開    三方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「菱マンガン鉱」の意味・わかりやすい解説

菱マンガン鉱
りょうマンガンこう
rhodochrosite

方解石族鉱物。 MnCO3 。三方晶系。菱面体,板状,柱状の結晶,粒状,ぶどう状の集合塊として産する。硬度 3.5~4,比重 3.70。ガラス光沢ないし真珠光沢で半透明。桃,紅,赤,褐色などを呈する。菱鉄鉱,方解石との間に高温で完全固溶体を形成する。熱水鉱床,層状マンガン鉱床などに産する。

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