地球外に知的生物がいたとして,それが発射する電波を検出しようという計画の一つ。ただし,現実の計画ではなく,スタンフォード大学とNASA(アメリカ航空宇宙局)とが共同で主催した地球外知性との交信,あるいは探査(communication with extra terrestrial intelligenceの頭文字をとってCETIと呼ばれる)のための机上システムである。1981年の夏,3ヵ月間にわたり,各界の科学者,技術者24人が集まって行われた設計方針は,現在の工学レベルを結集して,近傍の星からの意図しない電波も十分に検出し,解析できるものを考えることであった。
その結果は,直径100mのパラボラアンテナを1000個程度並べて,微弱な電波を集めて解析するものとなった。円盤状に並べられた大パラボラ群は上空から見ると,空をにらむ巨大な一つ目玉のように見える。〈サイクロプス〉とは,ギリシア神話に登場する一つ目の巨人キュクロプスの英語読みである。
サイクロプス計画は,現実にこれを遂行するものではないが,すでに電波による地球外文明探査は,1960年のオズマ計画以来,さまざまの形で行われてきている。この結果,空間方向,周波数領域両面において探査が広げられ,また検出感度も飛躍的に増大しているが,いまだに地球外文明からの電波はとらえられていない。いままでの探査は既存の電波望遠鏡などを利用して行われてきているが,全システムを地球外文明探査専用として設計・製作された探査システムはまだ存在しない。
執筆者:平林 久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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