改訂新版 世界大百科事典 「サボンソウ」の意味・わかりやすい解説
サボンソウ
common soapwort
Saponaria officinalis L.
ナデシコ科の耐寒性多年草。ヨーロッパ原産。古くから薬用植物として知られ,根はサポニン類を含むため,セッケン代りに使われたところから,サボンソウともシャボンソウともいわれる。またbouncing Bet,bouncing Bessの英名もある。花も美しいため,花壇用宿根草としてもよく植えられる。草丈は30~80cmぐらいとなり,株立ちとなって茂る。葉は楕円状の披針形で光沢があり,対生する。また目だつ3脈がある。初夏から夏へかけて,枝端の集散花序に,径2~3cmの5弁花をつける。花色は淡紅色または白色であるが,紅色花の品種や,八重咲品種もある。根茎が横走して繁茂する。耐寒性のあるじょうぶな宿根草で,秋または春に植えれば,あまり手をかけずによく育ち,毎年花を咲かせる。根を乾燥したものがサポナリア根で,皮膚病などに用いられた。繁殖は春に株分けで殖やすほか,よく結実するので種子を採り,種子繁殖でも容易に殖やせる。播種(はしゆ)は秋または春に行う。
執筆者:柳 宗民
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報