去痰薬(読み)キョタンヤク(英語表記)expectorant

翻訳|expectorant

デジタル大辞泉 「去痰薬」の意味・読み・例文・類語

きょたん‐やく【去×痰薬】

気道粘液分泌を促進させたり、分泌物粘性を低下させたりして、痰の吐き出しを容易にする薬物せきを止める効果もある。去痰剤

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改訂新版 世界大百科事典 「去痰薬」の意味・わかりやすい解説

去痰薬 (きょたんやく)
expectorant

痰をはき出すのを容易にする薬。気道分泌を促進して痰をうすめるとともに気管支粘膜面を粘滑にして痰の排出を助けるものや,痰を溶解させ流動性を与えるものなどがある。昔から去痰薬として使われてきた薬は多いが,それらの臨床上の有効性や作用機序は必ずしも明確であるとはいえない。おもな去痰薬にはつぎのようなものがある。(1)咽頭,喉頭および上部消化管粘膜を刺激して反射的に気道分泌を促進するといわれるもの セネガ根,遠志(おんじ)(イトヒメハギの根),桔梗(ききよう)などサポニン類を有効成分とするものや,車前草(オオバコ),桜皮などの非サポニン性配糖体を含むもの。(2)内服により吸収されたあと気管支に分泌されて粘膜腺からの分泌を促進し,あるいは粘液の溶解を助けると考えられるもの ヨウ化カリウムアンモニウム塩,グアヤコール誘導体,ブロムヘキシンなど。(3)痰に直接作用して粘性物質を分解し粘度を低下させるもの アセチルシステイン,メチルシステイン,タンパク質分解酵素製剤など。
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百科事典マイペディア 「去痰薬」の意味・わかりやすい解説

去痰薬【きょたんやく】

気道にたまったを取り除く薬剤。気道粘膜の分泌を促して痰をうすめ,繊毛の動きを容易にする作用をもつ。二次的(せき)をしずめるが鎮咳(ちんがい)薬とは異なる。セネガ根,ヨウ化カリウム,アセチルシステインなどがある。
→関連項目遠志杏仁水鎮咳薬ドーフル散

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「去痰薬」の意味・わかりやすい解説

去痰薬
きょたんやく
expectorants

痰を出しやすくする薬。痰そのものを薄めて出しやすくするものと,刺激により咳嗽を促して,痰を喀出しやすくするものとがある。痰を喀出しやすくするものとしては,アンモニア重曹などのアルカリ剤による融解性去痰薬,カンゾウ,シャゼンソウなどの植物の粘性を応用して気道刺激を緩和する緩和去痰薬,サポニン剤 (セネガ根,炭酸アンモニウム) などのような刺激性去痰薬がある。

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世界大百科事典(旧版)内の去痰薬の言及

【鎮咳薬】より

…コデイン類は麻薬であるが,日本では家庭麻薬製剤という特例を設け1/100以下の含量で配剤することは許されている。一方去痰薬(きよたんやく)は,痰の排出を促進し,気道粘膜に対する刺激をやわらげて咳の発生を抑える。またアドレナリン,エフェドリンなどの気管支拡張薬は,気管支筋を弛緩させて内腔を広げ,痰の排出を容易にしたり咳の気流を減速したりして咳を弱める。…

※「去痰薬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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