食の医学館 「サメの軟骨」の解説
さめのなんこつ【サメの軟骨】
○栄養成分としての働き
サメの軟骨の主要成分はムコ多糖体で、コンドロイチン硫酸(りゅうさん)が構成成分です。コンドロイチン硫酸はたんぱく質と結びつき、皮膚、血管壁、軟骨、じん帯、関節、眼球、粘膜(ねんまく)、各臓器に分布し、コラーゲンとともに結合組織を構成します。そして組織に保水性、潤滑性、弾力性を与え、栄養の消化吸収、代謝、骨の成長促進や炎症を抑えるなどの働きをし、老化を防止します。医薬品として広く用いられています。
一方、サメはがんにならないことから研究がすすみ、新たな抗がん効果が一躍脚光を浴びるようになりました。がんは栄養補給路として新たな血管をがん組織の周囲につくりだしますが、サメの軟骨はこれを阻害する働きがあります。そのため新生血管形成によって悪化する乳がん、前立腺(ぜんりつせん)がん、膵臓(すいぞう)がんなどの固形がんや、リウマチ、糖尿病性網膜症(とうにょうびょうせいもうまくしょう)などに効果を発揮します。また軟骨の粉末を投与すると、腫瘍(しゅよう)縮小と痛み緩和以外に、ウイルスや化学物質に対して特殊な抗体をつくることも確認されています。
コンドロイチン硫酸は加齢とともに体内での生産量が減ってきます。食材にも少なく、化学的に合成することも困難なので、生物から分離精製されたサプリメントにたよるのがベストです。そのなかで純度が高く、抗がん作用が高いのはサメの軟骨といわれています。