バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂前にあって,約10万人を収容するといわれる大広場。教皇アレクサンデル7世の発案により,1656-67年にベルニーニが建設した長円形の大歩廊(コロネード)で囲まれ,その短軸上に広場への入口と大聖堂正面への大階段,長軸上に二つの噴水が位置し,中央にオベリスクが立つ。旧聖堂脇にあったこの古代エジプトのオベリスクは,16世紀後半に技師ドメニコ・フォンタナが900人の職人と140頭の馬を使い4ヵ月かかって移設したもの。長径240mの大歩廊は372の柱から成る四重の柱列で構成され,軒上には聖人像140体が並ぶ。右側直廊部の奥には,巧みな幾何学的構成によって錯視を誘うベルニーニ作の大階段スカラ・レジアが教皇庁舎へと通じている。
執筆者:日高 健一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂の前にある広場。17世紀イタリア・バロック様式の代表的建築・彫刻家ベルニーニの設計。南北に長い楕円(だえん)形の広場で、長さ340メートル、幅240メートル。この広場を囲んで、半円形の対(つい)になった円柱回廊があり、その上に140人の聖人像が配列されている。広場の中央に、高さ25.5メートルのオベリスク(紀元前1世紀のもの)と、その左右に二つの噴水がある。左はベルニーニ、右はマデルナの作。この広場のあるバチカン市国は1984年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[藤澤房俊]
…一方,パリではブルボン王朝の栄華を都市空間に示すべく,ル・ノートル,マンサールなどの計画によって整備,改造が進められた。ローマでは,カンピドリオ広場,サン・ピエトロ広場など,パリではバンドーム広場,コンコルド広場などがある。このような都市空間の秩序づけはパリではさらにオスマンの都市改造に引き継がれるとともに,イギリスやドイツはもとよりワシントンなど新大陸の首都計画にも大きな影響を与えたのである。…
※「サンピエトロ広場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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