ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ザイラー」の意味・わかりやすい解説
ザイラー
Sailer, Johann Michael
[没]1832.5.20. レーゲンスブルク
レーゲンスブルクの司教 (1829~32) 。ディリンゲン大学をはじめ各地の神学校教授を歴任したが,この間2度にわたって (1781,94) その思想の正統性に不当な疑いがかけられて解職された。教会要職への就任にもしばしば教会内の反対を受けた。 18~19世紀ドイツ・カトリック界における最も卓越した思想的指導者であり,その人格的魅力と教育者的才能によって多くの人々をひきつけ,超宗派的な影響を及ぼした。聖書,教父および中世後期の思想家たちの著作に精通し,カトリック教会の信仰的伝統に立脚しつつ同時代の哲学の批判的評価を行い,ドイツの啓蒙思想の影響による合理主義を克服,19世紀のカトリック大更新運動を準備,哲学的にはヤコービの信仰哲学とシェリングの同一哲学によりキリスト教内で人文主義とドイツ的な信仰を統一した。主著に『司牧神学講義』 Vorlesungen aus der Pastoraltheologie (88~89) ,『理性的理由による幸福』 Glückseligkeiten aus Vernunftgründen (87~91) ,『キリスト教倫理読本』 Handbuch der christlichen Moral (1817) がある。
ザイラー
Sailer, Anton
[没]2009.8.24. インスブルック
オーストリアのスキー選手。愛称トニー Toni。1956年のコルティナダンペッツォ・オリンピック冬季競技大会で,アルペンスキー男子の滑降,回転,大回転の全 3種目に優勝,史上初のアルペンスキー三冠王となった。1958年にはアルペンスキー世界選手権大会でも 3冠に輝いた。1959年に引退したのち映画俳優として活躍し,『白銀は招くよ!』12 Mädchen und 1 Mann(1959)など 二十数本の映画に出演,人気を博した。1970年初め,オーストリア・アルペンスキーチームの監督に就任,国際スキー連盟アルペン部長などを務め,1985年国際オリンピック委員会 IOCからオリンピック・オーダーを授与された。(→スキー)
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