民泊(読み)みんぱく

知恵蔵の解説

民泊

ホテルや旅館などの宿泊施設の代わりに、一般家庭などが空き部屋などに有料で旅行者を宿泊させること。訪日外国人客の増加により宿泊施設が不足する中で、インターネットを利用して部屋の貸し手と借り手を仲介する新たな民泊ビジネスが登場し、国などが民泊の実態調査や規制のあり方の検討を始めている。訪日外国人旅行客は、2013年に初めて1000万人を超え、15年には1973万人余りと急増している。
宿泊施設を営むには旅館業法に基づく営業許可が必要だが、一時的な受け入れは営業に当たらない。これまで民泊は、宿泊施設の不足する地域において、国体などのイベントや修学旅行で一時的に多くの人が訪れるような場合に活用されてきた。この場合は旅行業に当たらず、自治体や主催者が受け入れ家庭を募集する。また、グリーン・ツーリズムの高まりの中で、一時的な受け入れではなく、農村などで滞在型の余暇活動を提供する農家民宿も増えたが、これらは旅館業の営業許可を取得していても民泊と称する場合も多い。
最近、新しいサービスとして登場したのが、インターネットを活用した民泊の仲介である。世界の旅行者に民泊情報をウェブ上で提供するAirbnb(エアビーアンドビー)は、2008年創業の米国の企業で、貸したい空き部屋を登録しておくと借りたい旅行者が申し込む仕組み。日本でも既に2万件以上の登録物件があるとされる。しかし、旅館業に当たる実態がありながら営業許可を得ていない貸し手が多いと見られ、賃貸物件を無断で転貸する不正行為も報告されている。一方、外国人客の急増への対応として旅館業法の適用除外を認める国家戦略特区は、自治体の条例制定が進まず、15年末までに大阪府と東京都大田区で制定されただけである。こうした状況を受けて、厚生労働省と観光庁は15年11月に民泊サービスのあり方を巡る検討を始めた。

(原田英美 ライター/2016年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

民泊

一般住宅やマンションに旅行者を有料で泊めること。15日に施行される住宅宿泊事業法民泊新法)により全国で解禁され、都道府県などに届け出て認められると、運営できるようになる。事業者の自宅や入居者募集中のアパート、普段使っている別荘などが対象で、民泊用のアパート建設などは認められない。いずれも台所、トイレ、浴室などを備える必要がある。

(2018-06-13 朝日新聞 朝刊 名古屋・1地方)

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知恵蔵miniの解説

民泊

個人が住宅の空室などを用いて有料で宿泊を提供するサービスのこと。借り手のほとんどは外国人旅行者であり、貸し手(ホスト)たちは自分で宿泊料を決め、各自高級マンションから古い4畳半まで様々な部屋を提供している。2008年に米国で始まった旅行者とホストを結びつけるウェブサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」が広めた宿泊形態で、同サイトには世界191カ国・地域の3万4000以上の都市のホストが登録している。14年には日本法人も発足し、15年8月現在、全国で約1万3000の部屋が登録されるまでになった。また、清掃や通訳派遣などホスト向けサービスを代行する企業も次々と設立されている。しかし旅館業法で必要な営業許可を得ていないホストが多いとみられ、日本政府が実態調査に乗り出している。

(2015-9-1)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

民泊
みんぱく

住宅やマンションの空き部屋などに、有料で旅行者らを泊めるサービス。もともとリゾート地や大都市の住宅を利用した宿泊として行われていたが、2008年(平成20)前後にインターネットを通じて貸し手(個人)と借り手(旅行者)を仲介するサービスがアメリカで誕生し、世界的に普及した。(1)大規模イベントや季節に応じて変動する宿泊需要の柔軟な受け皿となる、(2)低料金で提供できる、(3)空き家などを有効活用できる、などの利点があり、民泊サイト業者大手には、サイト訪問者数が数千万人から1億人に達するアメリカのAirbnb(エアビーアンドビー)、HomeAway(ホームアウェイ)などがある。日本では、急増する訪日観光客(インバウンド)の受け皿として注目され、2020年開催のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、民泊を普及するための規制緩和が進んだ。ただ既存の観光地、ホテル・宿泊業者、観光地を抱える自治体などは規制緩和や民泊自体に反対しており、法令に基づかない「ヤミ民泊」(違法民泊)が横行しているのが実態である。なお民泊は、個人の間で物やサービスを貸し借りするシェアリング・エコノミーの典型例である。
 日本では、民泊に関する法律が未整備で、有料宿泊を提供するには厳しい衛生基準などをクリアして旅館業法の許可を得る必要があった。しかし政府は訪日旅行者の増加はデフレで沈滞する国内個人消費を刺激するうえ、人口減少による空き家対策にもつながるとして、民泊を認める規制緩和やルールづくりに取り組んできた。2015年、国家戦略特別区域法第13条を活用し東京都大田区や大阪府で旅館業法適用除外により民泊を認める条例を制定した。2016年には旅館業法施行令を改正し、民泊を民宿と同じ簡易宿所と位置づけ、営業許可を取りやすくするよう面積基準などの規制を緩和した。さらに営業日数の上限を年間180日とするなどの条件付きで、民泊を全国解禁するため、2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行された。民泊を提供する物件の所有者、管理業者、仲介業者に登録・届け出を義務づけ、公衆衛生の確保や周辺住民とのトラブルを防止するルールをつくった。ただ地方公共団体が独自条例で営業日をさらに規制することを認めているうえ、登録・届け出件数は低調で、事件や周辺住民とのトラブルの温床となるヤミ民泊の歯止めにはなっていない。[矢野 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

みん‐ぱく【民泊】

〘名〙 民家に宿泊すること。

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