シキソトロピー(読み)しきそとろぴー(英語表記)thixotropy

翻訳|thixotropy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シキソトロピー」の意味・わかりやすい解説

シキソトロピー
しきそとろぴー
thixotropy

振動や攪拌(かくはん)によってゲルが流動性をもつゾルに変化し、放置するとふたたびゲルに戻る現象をいう。チクソトロピーあるいはチキソトロピーということもある。以前は揺変(ようへん)といったこともある。

 ベントナイトの懸濁液や油性ペンキ、あるいは酸化鉄(Ⅲ)や水酸化アルミニウムのコロイドに少量の塩化ナトリウムを加えたものなどでよく認められる。日本の神話にある伊弉諾・伊弉冉尊(いざなぎいざなみのみこと)の国づくりの段は、このシキソトロピーの最古の記載であると思われる。

 これとよく併記されるものとしてダイラタンシーdilatancyがある。粉粒と水の系に急激に外力を加えて変形をおこさせると、表面付近の水が内部の粒子間隙(かんげき)に吸い込まれて固くなる現象である。波打ち際の砂を踏んだときなどに観察されるが、近年、地震の成因モデルに応用されて注目を引くようになった。高分子溶液を流動、攪拌する際に抵抗が増大する(固くなる)ことを同様にダイラタンシーとよぶことも多い。

山崎 昶]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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