シナイ山(読み)シナイザン(その他表記)Mount Sinai

デジタル大辞泉 「シナイ山」の意味・読み・例文・類語

シナイ‐ざん【シナイ山】

Sinaiモーセが神ヤーウェから十戒を授けられた山。エジプトシナイ半島南端にある「モーセの山(ガバルムーサ)」(標高2285メートル)であるとされる。

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精選版 日本国語大辞典 「シナイ山」の意味・読み・例文・類語

シナイ‐さん【シナイ山】

  1. ( シナイはSinai ) 旧約聖書の「出エジプト記」に記されている山で、イスラエルの神エホバがモーゼ十誡を授けたところ。シナイ半島の中南部にあるジェベル‐ムーサ(二二八五メートル)がそれにあたるとされる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シナイ山」の意味・わかりやすい解説

シナイ山
シナイさん
Mount Sinai

エジプト北東部,シナイ半島中南部にある花崗岩の山。標高 2285m。「モーセの山」とも称され,ヘブライ語でハーシナイ Har Sinai(「シナイ山」の意),アラビア語でジャバル・ムーサー Jabal Mūsā(「ムーサー山」の意)と呼ばれる。シナイ山は旧約聖書出エジプト記20章,申命記5章において,唯一の神ヤハウェがモーセに十戒を授けた場所,ホレブ山とされている。またユダヤ教のみならず,キリスト教,イスラム教にとっても神聖視な場所である。イスラエルの民がエジプトから脱出したルートについては諸説あり,この山を聖書にあるシナイ山と特定することはできない。初期キリスト教時代には隠修士が頻繁に訪れ,530年には北麓に聖カタリナ修道院が創立された。おそらく世界最古のキリスト教修道院といわれ,現在もギリシア正教のシナイ山自治教会の修道士が居住している。4世紀の有名なシナイ版聖書写本はここで発見された。1967年の六日戦争(第3次中東戦争)以降,シナイ山はイスラエルの管理下にあったが,1979年の平和条約締結を機にエジプトに返還された。2002年聖カタリナ修道院地域として世界遺産文化遺産登録

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シナイ山」の意味・わかりやすい解説

シナイ山
しないさん
sīnay ヘブライ語
Mt. Sinai 英語

『旧約聖書』において、モーセに率いられてエジプトを脱出したイスラエルの先祖が、神ヤーウェと契約を結び(いわゆる「シナイ契約」)、モーセを介して十戒をはじめとする諸律法を神から与えられた、と伝えられる山(「出エジプト記」24章ほか)。神ヤーウェは、『旧約聖書』の古い伝承のなかで、「シナイのお方(かた)」(ゼー・シーナイ)ともよばれており(「士師記」5章5節)、シナイ山はイスラエルの神ヤーウェ(崇拝)の起源の地であったらしい。その位置はかならずしも確定しえないが、伝統的には現在のシナイ半島南端のシナイ山、別名「モーセの山」(2285メートル)がそれであったとされている。

[月本昭男]

世界遺産の登録

シナイ山麓に6世紀中ごろに建設された聖カトリーナ(カテリーナ、エカテリニ)修道院が2002年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「聖カトリーナ修道院地域」として世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。

[編集部]

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