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申命記 しんめいきDevarim; Deuteronomy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

申命記
しんめいき
Devarim; Deuteronomy

旧約聖書中の一書。マソラ本文では律法書の第5書でヘブル語でデバーリーム (言葉という意味) から「言葉」と呼ばれる。七十人訳旧約聖書 (→セプトゥアギンタ ) ではモーセ五書の第5書で,書名の申命記はギリシア語からつけたもので,語源が示すところによると「第2の律法」というよりは律法の「写し」,あるいは「繰返し」という意味がある。
『申命記』の起源についてはユダの王ヨシヤによる宗教改革 (前 621) に関する『列王紀下』 (22~23章) の物語との関係が早くから論じられていたが,デ・ウュッテらの研究によって,改革の基準とされた『律法の書』は『申命記』であると確認された。したがって,その起源は異論もあるが,ほぼ前8世紀末ないし前7世紀に求められる。『申命記』はモーセの説教という形式をとるが,内容的には大きく3部に分れる。まず1~11章で十戒と唯一の神ヤハウェへの絶対的服従が説かれ,12~26章でモアブでの契約律法が,27~32章では律法を果すべき動機とその遵守に対する応報が,そして最後に 32章ではモーセの歌が記されている。『申命記』の神学は,唯一神ヤハウェのまったき恵みによって選ばれた「神の民」の神学であり,それはシェマ・イスラエルすなわち「イスラエルよ聞け。我らの神,主は唯一人の主なり。汝心を尽し精神を尽し力を尽して汝の神,主を愛すべし」 (6・4~5) という言葉に代表される。『申命記』は王国の制度が部族の自由を脅かし,アッシリアの圧迫が増大するという新しい状況のもとで,一つの神,一つの民族,唯一の祭儀という古いアンフィクティオニー (宗教を中心とする種族連合) の理念を再び力強く掲げたものであった。

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世界大百科事典 第2版の解説

しんめいき【申命記 Deuteronomy】

旧約聖書の〈モーセ五書〉の一つ。約束の地カナンに入る直前,モアブの地でなされたモーセの最後の説教。表題のもととなったギリシア語訳《Deuteronomion》(〈第2の律法〉の意)は,〈律法の写し〉(17:18)の幸運な誤訳による。第1部導入部(1~11)は,シナイの歴史の回顧と律法と戒めへの従順のすすめで,物語(1~4)と勧告(5~11)の文体の二つからなる。第2部は律法の部分(12~26)と儀式の断片(27~28),第3部は最後のすすめ(29~30),さらに全体の結論としてモーセの死の伝承(31~34)が付け加わる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

申命記
しんめいき
Deuteronomium

『旧約聖書』の初めにある「モーセ五書」の第5書。17章18に「この律法の写し」とあるのを、「第二の律法」Deutero-nomiumとギリシア語訳したところからこの書名が生まれた。日本語書名は、漢訳(申はふたたび、命は律法)を踏襲したもの。モーセがカナーンに入る直前に、モアブの平野でイスラエル人に律法を再度説き明かした訣別(けつべつ)説教の形をとっており、モーセの死が終わりに記されている。本書は、紀元前621年のヨシヤ王による改革の理念を示す書と考えられ、エルサレム神殿のみを残して地方の聖所を廃止し、異教的要素を排除した礼拝の純化と集中の方針などが盛り込まれている。「イスラエルよ聞け。あなたは心をつくし、精神をつくし、力をつくしてあなたの神、主を愛さなければならない」(6章4以下)の箇所は、古来ユダヤ教徒が毎日唱える聖句で「シェマー(聞け)」とよばれ、キリストも隣人愛とともにこれをもっとも重要な戒めとして教えている。5章には「十戒」がある。[清重尚弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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