日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロスビー」の意味・わかりやすい解説
クロスビー
くろすびー
Bing Crosby
(1903―1977)
アメリカのポピュラー歌手、俳優。本名ハリー・リリス・クロスビー。ワシントン州生まれ。1926年ポール・ホワイトマン楽団に参加し、リズム・ボーイズというボーカル・トリオを組んで注目され、31年に独立。ラジオ、レコード、映画に活躍し、他界するまでアメリカを代表する大スターの地位を保持した。もっとも早くマイクロホンの活用法を会得し、自然な発声とジャズのセンスで新しいスタイルを創造し、フランク・シナトラほか多くの歌手に影響を与え、現代ポピュラー・ボーカルの基盤となった。白人ジャズ歌手の草分け。映画出演は1930年からであるが、40年代にはボブ・ホープ、ドロシー・ラムーアDorothy Lamour(1914―96)とのトリオによる『アラスカ珍道中』(1945)などの「珍道中」シリーズで絶大な人気を集め、『我が道を往(ゆ)く』(1944)ではアカデミー主演男優賞を受賞した。また『スイング・ホテル』(1942)で創唱した『ホワイト・クリスマス』は彼の最大ヒットで、いまもシーズンともなれば全世界で愛唱されている。
[青木 啓]