シャシャンボ(読み)しゃしゃんぼ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャシャンボ」の意味・わかりやすい解説

シャシャンボ
しゃしゃんぼ
[学] Vaccinium bracteatum Thunb.

ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の常緑低木または小高木。葉は革質で互生し、卵状楕円(だえん)形で長さ3~7センチメートル、両端はとがり、縁(へり)の上半部に鋸歯(きょし)がある。6~7月、総状花序をつくり、壺(つぼ)状長鐘形の白色花を下向きに開く。花冠は長さ6~7ミリメートルで先は浅く5裂し、各花に緑色の大きな包葉がある。果実球形で径6ミリメートル、微細な毛があり、初冬に黒紫色に熟し、甘酸っぱくて食べられる。関東地方南部、能登(のと)半島以西の本州から四国、九州、沖縄県、朝鮮半島南部、中国に分布

 名は、果実が丸く小さいことによるササンボ(小小ん坊)の意。『和名抄(わみょうしょう)』にある烏草樹、サシブノキは本種である。材は床柱、刳(く)り物などにする。

小林義雄 2021年4月16日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャシャンボ」の意味・わかりやすい解説

シャシャンボ
Vaccinium bracteatum

ツツジ科の常緑低木または小高木。アジア東部の暖温帯に分布し,日本では本州中部以西の暖帯林に生える。茎は高さ2~3mで,よく分枝する。葉は短い柄をもち,互生する。卵形または楕円形で長さ3~6cmあり,両端がとがって縁には浅い鋸歯がある。初夏の頃,前年の枝の葉腋に総状花序を出し,白色壺状の花を下向きに並べてつける。花冠は長さ 7mm内外で,先は浅く5裂し,外側にわずかにそり返る。果実は小球形の液果で,紫黒色に熟し,白粉を帯び,甘ずっぱくて食べられる。

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世界大百科事典(旧版)内のシャシャンボの言及

【スノキ】より

… スノキ属Vacciniumは北半球の寒帯から暖帯に広く分布し,300種ほどある。日本には17種あるが変化が多く,花冠裂片が反曲するアクシバ節,ツルコケモモ節,花冠が鐘形または壺形で落葉性のスノキ節,イワツツジ節,クロマメノキ節,花冠が鐘形で常緑性のシャシャンボ節,コケモモ節に分けられる。アクシバ節は幹が直立し,よく分枝して広がる低木で,東アジア,北アメリカに4種あり,日本にはアクシバV.japonicum Miq.(イラスト)が特産する。…

※「シャシャンボ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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