日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャリアピン」の意味・わかりやすい解説
シャリアピン
しゃりあぴん
Фёдор Иванович Шаляпин/Fyodor Ivanovich Shalyapin
(1873―1938)
ロシアのバス歌手。カザンの貧しい家庭に生まれ、ほとんど独学で声楽を習得。教会の聖歌隊や地方の小歌劇団で歌ったのち、ペテルブルグのマリンスキー劇場を経て、1896年以後モスクワで『ボリス・ゴドゥノフ』などのオペラに出演、名声を確立した。89年から1914年までボリショイ劇場専属歌手を務めながらミラノのスカラ座をはじめ欧米の主要歌劇場で歌った。18年以後マリンスキー劇場の芸術監督。22年パリに移住、以後西欧中心に活躍し、36年(昭和11)来日。広い声域とレパートリーを有したが、とくに『ボリス・ゴドゥノフ』などのロシア・オペラに、深い人間味と豊かな芸術性を備えた解釈を示した。衣装、演出なども手がけ、『ドン・キホーテ』などの映画にも出演し、パリに没した。
[美山良夫]