シャントン省(読み)シャントン(英語表記)Shandong

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャントン省」の意味・わかりやすい解説

シャントン(山東)〔省〕
シャントン
Shandong

中国東部の 1級行政区。略称はルー(魯)。伝統的に華北地方に属するが,経済協力区としては華東地方に属する。11特別市と 5地区に分かれ,20市,77県からなる。行政中心地はチーナン(済南)特別市。略称は春秋時代に一部がの国に属したことによる。山東は,古くはタイハン(太行)山脈以東をさしたが,の時代から行政区名となった。今日の省境がほぼ定まったのは代で,人民共和国の初期,西部に平原省が置かれたこともある。北部と西部はホワン(黄)河による沖積地で,北部はホワン河が流れ,西部にはウェイシャン(微山)湖トンピン(東平)湖などの連なる低地があって,ター(大)運河(大運河)が通っている。中部から南部にかけてはイーモン(沂蒙)山地で,標高 1000mをこえる峰を含むが,大部分はなだらかな丘陵地である。東部はシャントン(山東)半島で,ほとんどが丘陵地であり,海岸はリアス式で湾入に富む。海に接するために気候は比較的温和である。月平均気温は 1月で-1~4℃,7月で 24~27℃。年降水量は 500~900mm。人口密度は中国の省,自治区のなかで最も高く,平地は省域の 40%であるが,農地は総面積の 60%を占める。山地は乱伐によってはげ山が多く,干魃と河川の氾濫が絶えなかった。またホワン河の乱流した地は砂丘状に土砂が堆積し,低地はアルカリ土壌の荒れ地となった。ホワン河の堤防を修築し,また各地で植林,貯水池や灌漑排水路の建設,段畑の造成などが進んだ結果,1970年代末には食糧の自給を達成。一般に 2年3作が行なわれ,コムギ,サツマイモ,ワタラッカセイ,タバコが栽培される。サクサン柞蚕)の飼育と,リンゴ,ナシ,モモ,ナツメ,ブドウの果樹作が盛んである。沿海ミヤオタオ(廟島)群島では漁業が盛ん。石炭の埋蔵が豊富で,ツーポー(淄博)特別市ツァオチョワン(棗荘)特別市などに炭鉱がある。またホワン河の河口一帯にはションリー(勝利)油田が広がる。ほかにボーキサイト,金,鉄も埋蔵される。港湾都市であるチンタオ(青島)特別市は省最大の工業都市でもある。チンフー(津滬)鉄道が西部を通り,チヤオチー(膠済)鉄道(膠済鉄道),ランイエン(藍煙)鉄道によってシャントン半島の東部に通じる。面積 15万3300km2。人口 9309万(2007推計)。

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