フランスのシャンソン歌手,俳優。パリの貧民街に生まれ,幻少時から各種職業の徒弟奉公に出たのち11歳で歌手としてデビュー。1908年,ミュージック・ホールの女王ミスタンゲットの相手役に抜擢(ばつてき)され,コンビで名をはせる。第1次世界大戦後,カンカン帽と蝶ネクタイをトレードマークに時代の寵児(ちようじ)となり,映画がトーキーになったころハリウッドに招かれ,28-35年滞在して44本の映画に出演,世界的な人気を博した。68年,80歳でステージから引退。おもな出演映画は《レビューのパリっ子》(1929),《メリー・ウィドウ》(1934),《昼下りの情事》(1958)など。シュバリエはシャンソン歌手中の〈ファンテジストfantaisiste〉と呼ばれる範疇(はんちゅう)に属し,両大戦間の〈狂気の時代Les années folles〉を象徴する存在であった。陽気で屈託のない個性は万民に好まれたが,現実離れしたその歌同様に彼自身の行動からも社会的意識と思想性が次落しており,ビシー政府に無自覚的に協力する形となった第2次大戦中の活動が,戦後論議を呼んだ。1946年から11巻にのぼる回想録を発表。
執筆者:蒲田 耕二
フランスの経済学者,サン・シモン主義者。リモージュ生れ。理工科大学出身。ノール県の鉱山技師であったが,1829年ごろからサン・シモン派に接近,同派の機関紙《組織者》(1829-31)に寄稿をはじめた。七月革命後は,最高指導者アンファンタンに協力し,積極的な活動を展開したが,32年ともに起訴され,1年の懲役判決を受けた。この間,リヨンの絹織物工の蜂起(1831)に際し,労働問題の政治問題化を指摘し,注目を集めた。33年交通網調査のため渡米,帰国後は自由貿易論者として論陣を張り,これが経済発展と労働条件の改善には不可欠であるとした。第二帝政下には,ナポレオン3世の経済政策のブレーンとなり,貿易自由化を推進し,60年イギリス代表コブデンとの間に,英仏通商条約の調印を実現した。国家参事会員,コレージュ・ド・フランスの経済学教授も務めた。
執筆者:赤司 道和
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フランスのシャンソン歌手、映画俳優。パリのメニルモンタン生まれ。13歳からプロの歌手として歌い始め、20代でレビューのスターとなり、フォリー・ベルジェールでミスタンゲットの相手役を勤めたことから一時彼女と結ばれた。映画にも早くから出演しているが、1928~35年にはアメリカに渡り、『今晩は愛して頂戴(ちょうだい)な』(1932)、『メリー・ウィドー』(1934)などのオペレッタ映画に活躍、国際的スターとなった。帰仏後も、舞台と映画に華やかに活躍し、56年に歌手としての引退興行は行ったが、その後も主としてアメリカで映画出演を中心に活躍を続けた。彼はシャンソン・ファンテジストの典型で、独特の笑いと、スモーキングにカンカン帽姿をトレードマークに人気を博した。68年8月、シャンゼリゼ座で告別リサイタルを行い、72年1月1日パリで没。
[永田文夫]
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…その結果,13世紀以降,多くの地域で貴族の内部に階層分化が進行し,大きな所領をもつ高級貴族とこれに奉仕する下級貴族としての狭義の騎士身分の区別ができあがった。イギリスのナイトknights,フランスのシュバリエchevaliers,ドイツのリッターシャフトRitterschaft,スペインのイダルゴhidalgosなどがこの新しい騎士身分である。また,12,13世紀以来,自治都市が発展すると,市民共同体の内部でも富裕な上層市民の諸門閥が閉鎖的な〈都市貴族〉層を形成した。…
…フランスでは19世紀末にキャバレー,サーカス,カフェでの流行から,さらに大きな専用のミュージック・ホールで上演されるようになって,舞台装置や演出もスペクタクル性を高めた。20世紀に入ると,踊り子による群舞のエロティシズムやM.シュバリエ,J.ベーカーらの歌手も人気を博して全盛期を迎えた。イギリスのレビューは1893年の《時計の下で》に始まり,1920年代から30年代にかけて,興行師シャルロAndré Charlot(1882‐1956)が製作したスペクタクル性の強いものと,興行師コクランCharles Blake Cochran(1873‐1951)が製作した風刺的で機知に富むものとを代表とする。…
※「シュバリエ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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