ショウジョウヤシ(読み)しょうじょうやし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ショウジョウヤシ」の意味・わかりやすい解説

ショウジョウヤシ
しょうじょうやし / 猩々椰子
[学] Cyrtostachys renda Bl.

ヤシ科(APG分類:ヤシ科)ショウジョウヤシ属の1種。スマトラ原産。ショウジョウヤシ属はマレーシア、ニューギニア、モルッカ諸島に11種分布する。属名はギリシア語に起原する新ラテン語の曲がった穂(花序)の意味で、種名は発見者であるレンダにちなむ。和名猩々(しょうじょう)(想像上の動物でサルの一種)の顔色にちなむ。幹は株立ちで高さ10メートル、径10~15センチメートル、幹肌は緑色で環状の葉痕(ようこん)が残る。葉は長さ1.6~1.8メートル、表面は光沢のある緑色で裏面は灰緑色。小葉は片側50枚、長さ70センチメートル、幅5センチメートル、葉柄は長さ15センチメートル、葉鞘(ようしょう)は長さ60センチメートル。葉軸、葉柄、葉鞘とも暗紅色であるのが特徴である。雌雄同株。肉穂花序は長さ1.2メートル、花は雌雄とも長さ7ミリメートル、花弁は3枚で乳白色、萼(がく)は緋(ひ)色。雄しべは12~15本で細長く、葯(やく)は短い。中央に太い不稔(ふねん)雌しべがある。雌花は先が鈍くとがる円錐(えんすい)形で、3枚の花弁に覆われ、両側に2個の雄花を備え、3個1組の集合花が花軸に螺旋(らせん)をなして着生する。雌花の内周にはコップ状の無精雄しべがある。果実は黒色、基部が緋色、卵円形で長さ1センチメートル、種子は円形で径6ミリメートル、胚(はい)は底部にある。

 本種に似るものにヒメショウジョウヤシがあるが、これはマレーシア原産で、葉軸、葉柄、葉鞘とも紅色を帯び、この特徴は本属中ではこの2種だけである。ショウジョウヤシに比して幹の高さと径、葉の長さと幅、小葉の枚数などほぼ半分の小形である。果実は狭卵状円錐形で長さ1センチメートル、種子は卵円形、径5ミリメートル、胚は底部にある。葉全体は前者は平面状に開き、中軸葉柄が弧状に湾曲するが、後者は直伸状で中軸がわずかに曲がる。

 両種とも多湿でよく育ち、栽培温度は15℃以上必要で、原産地では30℃以上で育てられる。熱帯では庭園樹に利用され、鉢植えにし室内装飾用にも用いられる。

[佐竹利彦 2019年4月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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