化学辞典 第2版 「ジアミン」の解説
ジアミン
ジアミン
diamine
1分子内に2個のアミノ基をもつ化合物の総称.脂肪族ジアミンとして,メチレンジアミンNH2CH2NH2(不安定),エチレンジアミン,トリメチレンジアミン,テトラメチレンジアミン,ペンタメチレンジアミン(カダベリン),ヘキサメチレンジアミンなどがある.一般に,液体または低融点の固体で,特異の臭いをもつ.芳香族ジアミンには,o-,m-,およびp-フェニレンジアミン,ベンジジン,ジアミノスチルベンなどがあり,一般に無色の結晶で,空気中で酸化されて暗色になりやすい.脂肪族ジアミンは,
(1)ジハロゲン化合物にアンモニアを作用させる,
(2)ジニトリル,ジオキシム,アミノニトリルなどを還元する,
(3)ジカルボン酸アミドからホフマン転位を利用する,
などで合成される.芳香族ジアミンはジニトロ化合物,ニトロアニリン,アミノアゾ化合物の還元でつくる.二価の塩基で,空気中から二酸化炭素を吸収する.塩基性は二つのアミノ基の間隔が大きくなるほど強くなる.ジアミンの反応性は,一般にモノアミンの反応性に類似する.ジアミン特有の反応としては,
(1)1,2-ジアミンは,1,2-ジケトンと縮合してピラジン環をつくる,
(2)脂肪族ジアミンはジハロゲン化合物,ジカルボン酸と縮合して高分子化合物をつくる,
(3)テトラあるいはペンタメチレンジアミンは,環化してピロジリンあるいはピペリジン環をつくる,
(4)金属とアンミン錯塩をつくる,
などがある.合成繊維,色素の原料として有用である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報