改訂新版 世界大百科事典 「ジャックウサギ」の意味・わかりやすい解説
ジャックウサギ
jack rabbit
北アメリカのカナダ南部からメキシコにかけて広く分布する耳と後脚の大きなノウサギ属Lepusのウサギ。オグロジャックウサギL.californicus,アンテロープジャックウサギL.alleniなど4種が知られ,北アメリカではもっともふつうの野生ウサギ類である。体長50cm,尾長6.5cm前後,体重2.3~4.5kg。耳は長く,長さ15cm前後,砂漠にすむアンテロープジャックウサギでは20cm以上になる。英名はその耳の長さ(jackはass,すなわちロバのこと)による。体色は全体に灰褐色で,耳の先端が黒色。雪の降る地方にすむものは,冬,黒色の先端を除き白色になる。英名では,rabbit(アナウサギ)と呼ばれているが,実際は,ノウサギ(英名hare)の仲間で,巣穴を掘らず,毛がはえそろい目の開いた子を生む。産子数はふつう1産3~5子。年に2回以上生む。草原や明るい林に単独ですみ,おもに夕方と明け方に活動して,夏は草木の葉,冬は木の芽,樹皮を主食とする。四肢が長く大きいことから,ひととび4.5~6mもの跳躍で走ることができる。餌や天敵との関係などから約7年の周期で個体数が大きく変動することが知られている。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報