改訂新版 世界大百科事典 「ジュスティ」の意味・わかりやすい解説
ジュスティ
Giuseppe Giusti
生没年:1809-50
イタリアの詩人。トスカナ地方の裕福な家庭に生まれ,ピサ大学法学部を卒業して弁護士となるが,詩作を好み,生来の鋭い観察眼と豊かな機知とを駆使しながら,政治や社会を風刺した作品を数多く書いた。いわゆるリソルジメント前期とロマン主義のクリマに属する詩人で,一方でA.マンゾーニらとの交流を重ね,他方でトスカナ州立法議会の議員を務めながら,1848-49年の第1次イタリア独立戦争の際には民兵の指揮官として参加した。彼の作品には,リソルジメント前期における穏和自由主義者としての立場が明らかに反映している。50年,第1次イタリア独立戦争の挫折のなかで肺結核に倒れ,41歳の若さでフィレンツェに没した。代表作に,《詩集》(1844),《新詩篇》(1847),《トスカナ格言集》(1853),《書簡集》(1859)などがある。なお,ミラノ方言による風刺詩で名高いC.ポルタをジュスティがつねに意識し,みずからの作品を,トスカナ方言を縦横に織り込むことによって書きつづった点は,見落としてはなるまい。
執筆者:鷲平 京子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報