すかり(読み)スカリ

デジタル大辞泉 「すかり」の意味・読み・例文・類語

すかり[名]

《「すがり」とも》
網製のびく。サザエアワビなどを入れる。
網のように編んだ数珠じゅずの房。また、法師数珠を入れたり、山伏がほら貝などを入れたりするのに用いる袋。

すかり[副]

[副]たやすく事が行われるさま。刃物で物を切るさまなどにいう。「すかりと切る」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「すかり」の意味・読み・例文・類語

すかり

  1. 〘 名詞 〙 ( 「すがり」とも )
  2. 網のように編んだ、数珠(じゅず)ふさ。また、数珠を入れる網の袋ともいう。
    1. [初出の実例]「ずずのすがりをおとしけるを、あしたにをくるとて」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)雑四・一二八四・詞書)
  3. 物を入れる網の袋。獲物などを入れるのに用いるもの。また、山伏が法螺(ほら)貝を入れている網袋や磯釣りで使う口元に浮子(うき)のついた網魚籠をいう。
    1. [初出の実例]「すかりといふ物を、人二三人乗ほどにこしらへて」(出典:御伽草子・諏訪の本地(神道物語集所収)(室町末))
  4. 積雪量がきわめて多い所での、雪中歩行用具。大型のかんじき。縦七五~九〇センチメートル、横三五~四〇センチメートルの楕円形に、木や竹を曲げて作る。《 季語・冬 》
    1. す<a href=かり〈北越雪譜〉" />
      すかり〈北越雪譜〉
    2. [初出の実例]「冬の雪中は橇(かんじき)・繾(スガリ)を穿(はき)て途(みち)を行」(出典随筆・北越雪譜(1836‐42)初)
  5. 東北地方の山間に古くから住むまたぎ(狩人)の、狩猟組の指揮者。狩の技法、作法に熟達した者で、絶対の権力を持つ。昔は世襲であったが、今は必ずしも世襲ではない。

すかり

  1. 〘 副詞 〙 ( 多く「と」を伴って用いる )
  2. たやすく、気持よく事が行なわれるさまを表わす語。一刀のもとに、たやすく物を断ち切るさまなどにいう。さっくり。
    1. [初出の実例]「いでいでありの実わらんとて、だんばのほこをふりあげて、スカリと云て両人へやる」(出典:天理本狂言・毘沙門連歌(室町末‐近世初))
    2. 「鳳仙花の枝がすかりと裂て先が地についた」(出典:土(1910)〈長塚節〉一九)
  3. 矢で的を射そこなうさまを表わす語。
    1. [初出の実例]「Sucarito(スカリト) イハヅイタ」(出典:日葡辞書(1603‐04))

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