改訂新版 世界大百科事典 「スターリングの公式」の意味・わかりやすい解説
スターリングの公式 (スターリングのこうしき)
Stirling's formula
自然数nの階乗n!=n・(n-1)・……・2・1を計算するときに用いられる近似式,をスターリングの公式という。この近似はnの関数のn→∞のときの極限的な性質をみるため,また近似計算において重要な役割を果たす。近似の程度はnの増加とともによくなる。n=10のとき,10!=3628800で公式による近似は3598600となって,誤差の割合は約0.8%,n=100になると,この割合は0.08%にまで減少し,公式による近似がかなりよいことがわかる。nが大きいとき,二項分布を規格化(平均値を0,分散を1に)したものが標準正規分布に近いことを示すにはこの公式を用いるとよい。またΓ関数Γ(z)において,Γ(n+1)=n!に注意し,|z|が大きいとき近似式,
もスターリングの公式と呼ぶことがある。
執筆者:飛田 武幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報