すばらしい新世界(読み)スバラシイシンセカイ(その他表記)Brave New World

デジタル大辞泉 「すばらしい新世界」の意味・読み・例文・類語

すばらしいしんせかい【すばらしい新世界】

《原題Brave New Worldハクスリー小説。1932年刊。科学発展により人間は胎児工場で製造され、睡眠学習効果で誰もが幸福を感じているという世界を描いたディストピア小説。みごとな新世界
池沢夏樹長編小説。平成12年(2000)刊行。平成13年(2001)芸術選奨受賞。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「すばらしい新世界」の意味・わかりやすい解説

すばらしい新世界
すばらしいしんせかい
Brave New World

イギリスの小説家,批評家 A.L.ハクスリーの未来小説。 1932年刊。文明が極端に発達し,科学がすべてを支配するようになった世界を描く風刺的逆ユートピア小説。子供は人工授精で生れ,ガラス瓶の中で保育され,父親母親も知らない。生れる前から将来の地位が割当てられ,催眠術や条件反射的教育によって,個人はその役目を自動的に果すように条件付けられ,悩みや不安は錠剤の精神安定剤を飲めば解消される。古い文明を保存した国から来た「野蛮人」は,この国に住みきれず,自殺してしまう。表題シェークスピア『あらし』のミランダせりふ (5幕1場) からとられている。

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世界大百科事典(旧版)内のすばらしい新世界の言及

【ハクスリー】より

…構成を音楽の形式になぞらえた知的風俗小説《恋愛対位法》(1928)を出版。社会的・政治的緊張の高まった30年代に入ると,テクノクラシーのもとでの管理社会を風刺した逆ユートピア小説《すばらしい新世界》(1932),恒久平和を目ざす倫理的・宗教的立場から傍観を批判する《ガザに盲(めし)いて》(1936),とらわれのない〈無執着〉の倫理を説く評論《目的と手段》(1937)を発表。第2次大戦直前,眼疾治療のためアメリカに移住した。…

【ユートピア】より

… 第2には,反ユートピア(ディストピア)論の登場である。J.ロンドン《鉄のかかと》(1907),E.I.ザミャーチン《われら》(1924),A.L.ハクスリー《すばらしい新世界》(1932),G.オーウェル《1984年》(1949)などの代表例が挙げられる。これらは,理想国家として建設されたはずのユートピアが,かえってその強大な支配力によって人間を不自由化する,というモティーフにもとづいており,社会主義計画経済やケインズ主義政策などの定着の反面であらわになった矛盾に,敏感に反応した文学的表現といえる。…

※「すばらしい新世界」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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