スプレーグ(読み)すぷれーぐ(その他表記)Frank Julian Sprague

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スプレーグ」の意味・わかりやすい解説

スプレーグ
すぷれーぐ
Frank Julian Sprague
(1857―1934)

アメリカの電気技術者、発明家。コネティカット州ミルフォードに生まれる。海軍兵学校入学、そこで電気技術に興味をもち、物理学の特別コースで学ぶ。乗艦勤務ののち、1883年エジソン助手となる。翌1884年スプレーグ電気鉄道・原動機会社(のちにゼネラル・エレクトリック社に吸収)を設立し電動機製作。1887年バージニア州リッチモンドで、初めてトロリーポールによる集電式電車を走らせた。また高速度自動電気エレベーター装置の考案や、電車に多くの電動機を設備しこれに適切な制御をして速度を加減する方式も発明。また直流高圧電気鉄道のシステム、自動電気信号機や鉄道車両のブレーキ制御方式を発展させるなど、数多くの考案や発明があり、電気鉄道の父とよばれている。彼の電気技術の発明・発展の功績に対しパリ万国博覧会の金メダル(1889)、エジソンメダル(1910)、フランクリンメダル(1921)など数多くの賞が贈られている。また地下鉄道の熱心な提唱者でもあった。

[松澤正二]

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改訂新版 世界大百科事典 「スプレーグ」の意味・わかりやすい解説

スプレーグ
Frank Julian Sprague
生没年:1857-1934

鉄道の電気牽引を実用化したアメリカの発明家,企業家。コネティカット州ミルフォードに生まれ,海軍兵学校で学んだ。1882年にT.A.エジソンの助手となり,のちスプレーグ電気鉄道・電動機会社をつくって独立した。87年にスプレーグは,リッチモンドで12マイルにわたる市街電車建設を始めた。ここで彼は,床下に電動機を収容した電車をつくった。以後,アメリカほかイタリアやドイツで多数の電気鉄道を建設,列車の総括制御方式やトロリーなどを考案した。今日の電車の基本型は彼によってつくられたということができる。スプレーグはまた,エレベーターの改良も行った。スプレーグ社は,89年にエジソン・ゼネラル・エレクトリック社(現,GE社)に吸収された。
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百科事典マイペディア 「スプレーグ」の意味・わかりやすい解説

スプレーグ

米国の電気技術者,企業家。T.A.エジソンの下で働いた後,1884年にスプレーグ電気鉄道会社を興して電動機の製作を始め,1887年にはリッチモンドにトロリー式市街電車を建設。電車の複式制御方式,高圧直流方式,自動信号機自動ブレーキなどの発明・改良も行い,電気鉄道の父と称される。

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