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すみ分け すみわけhabitat segregation

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

すみ分け
すみわけ
habitat segregation

相似た生活様式をもつ2種以上の生物のそれぞれの個体群が生息場所を分け合う現象のこと。通常、種自身の要求からいえば同じ所にもすみうるのに、相互関係(競争)によって分け合っている状態に限って用いる。イワナとヤマメは、夏季の水温13℃の付近を境にして分かれてすむことが多いが、他種のいない所では、それより水温の低い上流あるいは水温の高い下流にも広く分布する。分布域が分かれるのは両種の相互作用によるすみ分けである。また、フジツボ類が潮間帯で層状分布をするのも、各種の分布上限は一般にその種のもつ生理的特性(乾燥抵抗性など)によることが多いが、分布下限はすぐ下方にすむほかの種のフジツボとの競争の結果であることが多い。このように、すみ分けは生物界に広くみられる現象である。
 相互関係によって食物を分け合うこともあり、この場合は食い分けという。イワナとヤマメがまれに共存する場合、イワナは下層で底生動物を食い、ヤマメは上層で落下ないし流下動物を食う。すみ分けているときは両種とも全層で双方を食う。すみ分けと食い分けは通常、どちらか一方がおこる。また、相互作用によって、時間的にすみ分けが成立する場合もある。
 また、「すみ分け」にはやや広義の用法もあり、現時点では相互作用がなくても、過去(地質年代のレベル)の時点での相互作用の結果生息場所が分かれ、環境の違いに適応した性質が遺伝的に固定されたと考えられる場合には、それらの種はすみ分けているという。
 すみ分けの概念は、1930年代に今西錦司(いまにしきんじ)と可児藤吉(かにとうきち)の水生昆虫の共同研究の結果、生まれたものである。可児が第二次世界大戦で戦死後、今西は、とくに著書『生物社会の論理』(1949)において、生活のよく似た種(多くの場合同属)は対立的であると同時に相補的であるからこそ、すみ分けによって同位社会を形成しているとし、この複合のうえにたって生物の世界を再構築しようと試みた。これはとくにすみ分け原理とよぶことが多い。その後、今西は、この原理を基礎として独自の進化論を提唱している。[川那部浩哉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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