日本大百科全書(ニッポニカ) 「スレーター」の意味・わかりやすい解説
スレーター
すれーたー
John Clarke Slater
(1900―1976)
アメリカの物理学者。イリノイ州の生まれ。ロチェスター大学に学んだのち、1923年から2年間、ケンブリッジ大学やコペンハーゲン大学に留学、その後、マサチューセッツ工科大学で研究し、1930年、同大学の教授となる。主として多電子問題、原子軌道、結晶におけるエネルギー帯などの研究を行い、量子理論を原子、分子、固体の領域にまで発展的に適用して、現代固体量子論の形成に大きな貢献をしている。また強磁性体や半導体の理論、強誘電体、電子工学の領域の論文も発表している。一方、現代物理学の体系に沿った優れた教科書を書き、世界の物理学徒に広く読まれている。邦訳されたものに『現代物理学』(1955)、『理論物理学入門』(フランクと共著・1933)、『力学』(フランクと共著・1947)、『電磁気学』(フランクと共著・1947)などがある。
[今野 宏]